みなさんこんにちは、教育学部3回生のにしむらです(・ω・)

私は、来年度に学校教育教員養成課程から総合教育課程へ転課程します。

でも、総合教育課程は来年から学生募集を停止します。

 

決定を聞いたとき、自分が学んでいる課程がなくなってしまう、という意識が正直拭えませんでした。

また、国自体の方針やお金の問題など、なにかもっと大きな力によって大学は動かされているのかなあ、なんて考えていました。

 

そんな中、私は教育学部学部長である永井 邦彦先生にこの思いをぶつける機会を得ました。

永井先生はドイツ語を教える教員として和歌山大学に呼ばれ、勤めて今年で35年、教育学部長としては今年で3年目となります。

 

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和歌山大学は、第二次世界大戦後の学制改革により、昭和24年新制大学として教育学部と経済学部の2学部でスタート。

開学当初は母体である師範学校への反省から引き学芸学部という名称でした。

これまでも時代や人口変動・それに伴う国からの要請に合わせ、教育学部の仕組みはさまざまに変化してきました。

そんな中、今、和歌山大学教育学部は

学芸学部から教育学部への名称変更、教員免許状取得を目的としない新課程の設置、そして新課程の廃止と教職大学院の設置予定という

戦後3番目の転換期を迎えていると永井先生は言います。

   

教育学部は平成28年度に課程再編と教職大学院の設置を予定しています。

 

「入学してきた学生は、自分はどういう教員になりたいのか、

教員に求められている力、専門性はなんなのかというキャリアパスの見通しを持ってほしい。」

現在教育学部には、県内の学校にボランティアに行ける仕組みや

教職専用のキャリアセンターがあり、そこに専属のスタッフが常駐しています。

山間部の多い県の特性を活かした、へき地複式実習もあります。

「それらをもっと学生に利用・参加してもらい理論と実践の往還を目指したい」と話されました。

  

また、教職大学院では、紀南地方の学校教員に和歌山大学に来て勉強してほしいと考えています。

これまでのような個人の資質を高める大学院進学では、

その先生が学校を去ってしまっておしまいというのが現状だったそうです。

教職大学院では先生個人でなく、学校、そして地域を支えるような学びを目指し

1年目は自分の赴任する学校の課題、地域の課題を一緒に考える

2年目は教職大学院の先生が実際にその学校に行く(大学の教授+県教委に関わる人+経験豊富な元学校長などでチームを組む)

という体制で、県内の学校を強力にバックアップしていきたいと考えています。

 

「大切なのは和歌山大学教育学部としてどういう人間を育てるか、そこにポイントを絞って考えていきたい」

そのことばを聞いて、大学は常に主体的に動いているということを実感し、

私たち学生は与えられたものを受け取るだけじゃいけないと感じました。

 

また一方で「時代が変わってゆくなかで、可変的なことができなくなっていくのは惜しい。

大学全体がもっと緩やかな、余裕のある構造になっていれば」ともおっしゃっていました。

 

永井先生自身がドイツ語を学んでいくうち、文学への興味が芽生え、

2年の冬に専攻を決める際に、入学当初思い描いていたドイツ史からドイツ文学に変更されたこともあり

そういった柔軟性が失われつつあることを危惧しているそうです。

 

その思いから、永井先生は全学の教養教育に関わる「教養の森センター」の立ち上げにも携わっています。

専門教育と教養教育は別ではない、どちらも4年間通して学び続けることができるようにという思いから立ち上げられました。

「和大に教養教育の"芽"はもうある、これから大学全体がどう取り組んでいくかだ」と話されていました。

(教養の森センター長・天野先生にインタビューしたブログが近日公開予定です、お楽しみに!)

 

お話を伺うなかで最も印象的だったのは

「求める学生像なんてものはなく、入ってきた時点の学生をどう育ててゆくか、どう伸ばしてゆくか。

大学ごとにできることはたくさんあり、それを見つけ出させるのが僕たちの仕事」だと即答されていたことです。

ドイツ語では教育をErziehungと言い、その成り立ちは

「身につける、獲得する」という意味のの接頭語「er」+ツィーエン(ziehen:引き出す)という動詞の名詞「Ziehung」だそうです。

「教育とは本来、引き出して獲得させるものというものだ」と真っ直ぐ目を見て言われました。

 

また、永井先生流の余裕の持ち方の秘訣は

「とにかく楽しむことだね、新しいものを拓くことはとても楽しい」とおっしゃっていました。

「いつも顔真っ赤になっているけど、酔っ払っているわけではないからね(笑)、それくらい情熱持ってこっちが燃えてないとね」

「変革には苦しみはどうしても伴うけれど、僕たちはその苦しみを超えて良いものを作らなければいけないし、

その先に残るものがあると信じてやっている。」

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お話を伺う前に抱えていた漠然とした不安は、永井先生の芯の通った言葉を聞くことでさわやかに晴れました。

私はこれから総合教育課程で学ぶ最後の代の学生となります。

自分で学びたいと決めた転課程、めきめきやっていこうと思います。