和歌山大学広報誌 アブニール vol.21

和歌山大学広報誌 アブニール vol.21 page 4/16

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「自治体首長とのクロストーク」第1弾・田辺市長に引き続き、第2弾は寺本眞一・那智勝浦町長の登場です。那智勝浦町は2011年9月の台風12号による大豪雨災害で甚大な被害を受けた地域です。災害復興や地域づくり等....

「自治体首長とのクロストーク」第1弾・田辺市長に引き続き、第2弾は寺本眞一・那智勝浦町長の登場です。那智勝浦町は2011年9月の台風12号による大豪雨災害で甚大な被害を受けた地域です。災害復興や地域づくり等に、自治体は大学に何を求めているのか。これまでの和歌山大学との連携事業(太田米の栽培・収穫、市野々地区での小水力発電活用の低炭素化への地域づくり)などの事例も踏まえて、災害対応や地域再生、自治体⇔大学連携のあり方と可能性を探る鼎談となりました。堀内未曾有の東日本大震災を、町長はどのように受け止められましたか?町長この地でも大津波警報は出ました。でも普通に働いている人もいたし、猫の子一匹いないという避難状態にはならなかった。その後の状況を見て、改めて地震、さらに津波被害の恐ろしさに戦慄しました。堀内和歌山県の海岸線でも、必ず起こると警戒しなければなりません。町長東南海や南海地震に置き換えた時、これがどうなるか。行政対応も住民の気持ちも、どこかバーチャルなものになっているのではないか、と正直ショックを受けました。「稲むらの火」のように、住民のみなさんが自助の自覚を強めないと、とも思いました。堀内それから約半年後の9月に、台風12号の豪雨災害が起こりました。3.11後の防災訓練や避難意識は生かされましたか?町長大震災の前も後も訓練を繰りかえしていましたが、結果としてその予測を大きく超える事態となりました。太田川流域では災害対策上経験もあり、ある程度の予測はつきます。しかし被害の大きかった那智川ではあれほどの雨が長時間降り溜まる事はこれまであまりなく、傾斜もあり比較的に水も早く引く土地でした。堀内何百年に一度という降雨量、紀伊山地の地質・岩盤等の特徴を警戒しても、あのように被害が拡大するとは驚きでしたね。町長深夜の午前2時過ぎから被害が大きくなりはじめました。昼間ならもっと早く「いつもと何か違う」と気づけたかもしれません。どのように突然増水し、山津波のような事態になったのかは推測するしかないのが実情です。「土砂崩れ」ではなくて「土石流」というのも想像がつきませんでした。「歴史や過去に学ぶ」と言いますが、今まで那智川水系に関しては、台風や雨に対する警戒基準はほぼ設けてなかった。行政はもっと手を打てる事があったのではないか、自分を責めました。堀内ご家族の安否を気遣いつつも、災害対策本部長として陣頭指揮を取られました。町長動揺がないと言えば嘘になります。しかし、私は町長です。災害対策の責任者です。行方不明者は増える一方。指揮者は現場を放棄できない。私情を捨てて豪雨の中を被災地に直行しました。3