和歌山大学広報誌 アブニール vol.21

和歌山大学広報誌 アブニール vol.21 page 5/16

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地域・自治体と大学が連携・協働して地域再建へ堀内防災研究者の立場から、今回の災害をどう分析していますか?照本今回の災害対応では、「避難勧告」や「避難指示」の出し方が話題になりましたが、那智川沿いに居住....

地域・自治体と大学が連携・協働して地域再建へ堀内防災研究者の立場から、今回の災害をどう分析していますか?照本今回の災害対応では、「避難勧告」や「避難指示」の出し方が話題になりましたが、那智川沿いに居住されている方々は、これまでの経験から、行政から出される避難勧告等に依存せず、自分たちで判断しようとする意識の高さをもっていたという印象を受けました。ただ、これまでの経験を超えるような規模になったために、被害が大きくなったと思います。町長今回の被災地はもともと雨の多い地区です。どこかにこれまでの経験主義的な意識もありました。住民の中には、避難勧告や指示に対して「いつもどおり」の感覚があったと思います。一方、事態の急変に避難勧告が間に合わない局面があったことは事実です。照本科学的分析や検証は重要です。ですがその上で、現在の科学技術には限界があることを前提にして防災対策を立てていくべきだと思います。「避難勧告」や「避難指示」をいつも適切に出すことは現在の科学技術では限界があり、その仕組み自体を変えていく必要があると考えています。町長私もそう思います。それだけにせめて昼間に事態が起こり、「日頃の状況と何か違う」との情報が少しでも早く周知徹底できていたら、と悔やまれます。照本自然現象は時として、想定している規模を超えて襲ってくることもありえます。避難勧告など行政から「行動」を促すシステムに依存するのではなく、危険性のある情報を行政機関や専門機関から発信したその先に、住民が自ら判断して行動する仕組みづくりが今後、必要になるでしょう。堀内災害等の教訓から、地域・自治体に大学が協力できることは何でしょう?照本緊急的な災害対応、地域復興や被災者の生活再建など、様々な場面で大学として協力できることは多くあると思います。ただそのためには、いきなり協力関係を結ぶことは難しいので、普段からの顔のみえる関係づくりが大切です。食料や通信機器など「モノ」・「ヒト」などの支援が集中した時に、それを使いこなし、また適したところに配分していく判断を各地域単位で行える人材。その必要性を今回の災害では痛感しました。2012年2月13日那智勝浦町役場応接室にて堀内「自助」から「自治」へ。地域の生活ニーズと社会資源を結い、双方向にコーディネートできる人材の発掘、養成、配置は急務ですね。自然現象の科学的研究はもちろんのこと、地域を再建する主体形成(人づくり)に大学が果たす使命は大きいと思います。町長また、南紀熊野サテライト地域連携コーディネーターの活躍にも日々感謝しておりますし、鈴木先生や中島先生などが起点となって地域と大学がつなぐ研究フィールドを那智勝浦町で展開してくれています。これまでの連携実績をさらに進化・深化させていただきたい。南紀熊野に愛着を持ち地域の実情をよく知る学生を多く育ててほしいです。災害など有事の際、そんな和歌山大学生に復旧支援に活躍してもらいたいです。堀内日常的な地域づくりの様々な分野での連携と協働こそが、災害支援、地域復興などの有事の際に本物の力を引き出せるのでしょう。地域の持続発展には次の時代を担う若い力を数多く育てる仕組みが必要ですね。町長個々の先生とその学生という「点」のつながりを、例えば大学全体の仕組みで「南紀熊野学」などの専攻を作るなど、大学総体及び学生活動とのつながりとして「線」から「面」へと築いていくことを希望します。そのためには我々の地域自治体サイドも既存施設の利活用を含め宿舎や活動拠点などのインフラ提供を検討する必要があると思っています。ありがとうございます。既に教育学部では、9年前から「へき地教育実習」を実施しております。2週間の農家民泊を経験し、過疎地域の熱心な教育者として頑張っています。このような精神は、和歌山大学が「地域を支え、地域に支えられる大学」づくりを進める基本戦略でもあります。すなわち、大学知と地域知の循環の視点が重要です。苦渋の災害体験を契機に、「和歌山大学が和歌山県に存在してよかった」と信頼と尊敬をいただけるよう学長を先頭に全学挙げて実行してまいります。寺本町長さま、本日は公務多忙な折、貴重な時間と首長としての決意、そして和歌山大学へのご提言を賜り、重ねて御礼を申し上げます。堀内町長そうですね、それと私が大学に望むことは、例えば地域のボランティア活動をコーディネートする「指導員養成マニュアル」の策定です。ボランティア希望者が殺到する時に、受け入れる側が追い付かないのが実情です。西川一弘特任助教・南紀熊野サテライト地域連携コーディネーター4