国立大学法人 和歌山大学

研究室ショートステイ

竹鼻 圭子教授(観光学部 地域再生学科)

「いろんな仕事をこなしてパワフル!」「いつも笑顔!」。学生から慕われている竹鼻圭子教授のテーマはスローツーリズム。英語を専門とする国際派でありながら、茶道を嗜む日本女性らしさも兼ね備えた教授のゼミは4月に始まったばかりの「これからの学問」です。

私どもがテーマにしているのはスローツーリズムです。20世紀のマスツーリズムの旅行形態ではなく、人間のライフスタイルをもっと高めた形の中で、旅行観光がどういった形であるべきなのか、そういう事をテーマにしています。

その基本として、まず皆さんに知ってもらいたい事があります。国際的にも認められている方向性ですが、サステイナブル(持続可能)な環境や人権といったものが、ずっと持続可能な形で社会を構成していく事をライフスタイルの中に組み込まないといけない。そういう哲学性を持たないと、何を考えても、その時の付け焼刃的な、観光政策にしても、その時に花火が上がるようなものにしかなりません。まず皆さんに勉強していただいているのは、この「エデュケーション・サステイナブル・デベロップメント(持続発展教育)」という考え方をしっかり身に付けて欲しいという事です。

これはサステイナブルな発展を目指す教育方法とはどういう事なのか全世界で考えようという活動で、日本が提案し、ユネスコが推進母体となっています。でも、このように景気後退が起こってくると、みんな経済活性化ばかりを先行するんです。しかしそれではいつまでたっても豊かな生活は実現しない。豊かな生活を目指さない限り、観光という分野においても、豊かな観光はできないだろうという事で、まずは基本として、考え方そのものを身に付けてもらうという事に取り組んでいます。

これまでの20世紀に起こっていた観光現象というものは、例えばバスなどで大勢の人が目的地へ行って、土地の人と交流するのではなく物見遊山的に見て回る、いわゆるマスツーリズムがほとんどでした。でも今の日本という国が成熟社会に向かうと共に、旅行形態が成熟したものになっていく必要があるのではないかと。その成熟したライフスタイルに寄与するような形を提案していかないと、みんなが幸せに暮らすということが実現しないじゃないの、と。

ではどんな事を考えていけば、そういうスローツーリズムを作る事ができるのか、みんなで考えてみようという事ですが、根幹の部分は、例えば視察などで観光地へ行く場合、ただそこで表面的に楽しむのではなく、地元に住む人たちの生活の中で一緒に自分たちの価値を共有しあう、食べるものであれ、生活のゆったりした形態であれ、それらを共有してお互いにリフレッシュする。そういう形態を作り上げていかないといけないのではと考えています。

日本では、観光が学問としてどういうものなのか、まだ発展途中の段階です。理論体系もそう。例えば皆さんが卒業論文を仕上げますよね。そのものが学問を構築する一部になっていく可能性が高いので、皆さんの新しい発想を非常に期待しているところです。

ゼミの様子
多くの志望者から5人が選抜。教授の専門の1つである英語や、スローツーリズムに関して学ぶのも志望理由ですが、何より、竹鼻教授の魅力に惹かれてゼミを志した皆さん。「日本女性として憧れます。世界を視野に入れつつ、その中で日本を見ている。お手本になります」。