国立大学法人 和歌山大学

わだいの話題

【教育学部】
助け合いの精神を学内に! ハンディのある学生への学生生活支援システム

現在、日本の高等教育機関では、大学によって差はあるものの、障がいのある学生や志願者への援助がさまざまなレベルで行われるようになってきました。本学でも今年4月、新しい取り組みとして障がいのある大学生への支援体制を整え、豊かな学生生活をエンジョイしてもらうためのサポートシステムを導入。施設面ではスロープなどを設置。さらに取り組みの第一歩を担った教育学部特別支援教育学専攻の学生が中心となって、筆記通訳のノートテイクや介助といったソフト面でのサポートを行っています。

体制づくりのスタートは昨年。学生自身が車イスで校内を巡り、実際に障がい者の目線で設備面での不便さを実感。その体験を生かしてハード面の強化を図っています。ソフト面でもサポーターを募り、現在チューターと呼ばれる介助担当者が8人。ノートテイクが12人。それぞれがチームを組んで学生生活を支援しています。

「新しいシステムということもあり、サポートする方もされる方も、何もかもが手探り状態。不安もありましたが、立ち上げから携わることで、私自身がより多くのことを学ぶきっかけになりました」と現在4回生でチューターのリーダー的役割を担う中島慎介さんは言います。「不安なく学校に通えるのが嬉しいですね」とチューターのサポートを受ける1回生の番匠谷直弥さん。ノートテイクでは3回生の池上愛美さんが「私たちは講義の内容を忠実に聞き取り、遅れずに筆記していく、同時通訳のような役割なのですが、テイク者自身が聞き取れない時なども…。頭を打ちながら、先輩のアドバイスをいただいています」とも…。

サポートを受ける1回生の藤井一樹さんは「言葉をイメージしにくい語学系の講義に付いてもらったりと、テイク者とお互いに意見を交換しながら、より良い方向へと軌道修正をかけています」と、それぞれが良い先輩と後輩の関係を築き、その中でシステムを創り上げているようです。

「どこまでフォローするべきか、当事者ではないので限度を知ることができません。やり過ぎは本人の能力を制限してしまうことでもあり、上級生がそばにいると友だちの同級生が寄って来にくくもなります。その距離感が難しいところです。まだまだスタートしたばかり。今はサポーターを増やしながら、学内全体に助け合いの精神を広めていきたいですね」と中島さん。

障がいのある大学生への支援に関して先進国である米国や英国と比べて、日本の大学での取り組みは、最近になって行われるようになったにすぎません。本学でも、人員や内容が十分ではないのが現状。サポーターは随時募集しているので、詳しくは教育学部まで。

【教育学部】助け合いの精神を学内に! ハンディのある学生への学生生活支援システム
左から順に中島さん、番匠谷さん、池上さん、藤井さん。
皆さん教育学部の学生であり、仲の良い先輩と後輩の関係。

【経済学部】社会人大学院=即、入試にあらず 自分のペースで追究したい学問を

学びたい志を持った社会人の方々に向けて、本学大学院の経済学研究科修士課程(以下、本研究科)では地域のニーズに合わせたプログラムを用意しています。社会人にとって、いきなり大学院正規生になるのは勇気が必要でしょう。仕事との兼ね合い、日々のスケジュールはもちろんですが、何より本当に修了できるのか不安だと思います。

そこで、本研究科では田辺市の県立情報交流センター内の「紀南サテライト」、大阪府岸和田市の浪切ホール内にある「岸和田サテライト」、和歌山市内の「地域マネジメントプログラム」で、地元ニーズの高い講座を開催。栄谷キャンパスまで通学が困難な方に、お近くの地域型サテライトで授業を受けていただけます。その際、気軽に受講できるのが「科目等履修生」。重大な決断をしなくても、ステップバイステップで勉強できる制度です。講議内容、日程など詳しくは右ページの問い合わせ先までお問い合わせください。

【科目等履修生について】
社会人などを対象に、受けたい授業を選んでいただく制度。選考の上、科目等履修生として入学し、受講後の成績が合格であった方については、単位を認定します。将来正規生として入学した場合、取得した単位がそのままカウントされます。栄谷キャンパス、紀南サテライト、岸和田サテライト、地域マネジメントプログラムで開講された本研究科の科目が対象です。

【社会人に配慮した制度設計】
紀南、岸和田のサテライトと地域マネジメントプログラムの授業は、社会人に配慮して、平日夜間・土曜日に開講しています。さらに、科目等履修生が正規生として入学する時も、社会人に配慮した制度が設けられています。科目等履修生としてすでに多くの単位を取得した方は、「社会人短期履修制度」を利用して1年で本研究科を修了することができます。逆に長い期間をかけて本研究科を修了したい方には「長期履修制度」があり、2年間の授業料で3年ないし4年間学ぶことができます。

【地域マネジメントプログラム】
本研究科では「地域マネジメントプログラム」を開設しています。これは、和歌山市及び近隣の市町の公務員等並びに地域活動をされている方々を対象に、科目等履修生として地域に関わりの深い科目を受講していただく制度。平成21年度の前期は、情報ネットワーク、マーケティングマネジメント、地方自治政策の授業が開講されました。後期には地方財政、都市再生論、資源・環境・エネルギー問題の授業が受けられます。

【租税法】
本研究科は、今年4月から岸和田サテライトで、税理士を目指す方を対象に「租税法」を研究する正規生を受け入れています。対象者は、岸和田サテライトの授業科目で修士課程を修了できるようになっています。「租税法」で2年間の研究指導を受け、税法関係の修士論文を作成して大学院を修了し、その論文が国税審議会の認定を受けると、税法科目2科目の受験が免除されます。

【お問い合わせ】

和歌山大学
経済学部 教務係
tel. 073-457-7805
紀南サテライト事務室
tel. 0739-23-3977
URL http://www.wakayama-u.ac.jp/kinan/
岸和田サテライト事務室
tel. 072-433-0875
URL http://www.wakayama-u.ac.jp/scenter/class/kishiwada.html

【経済学部】社会人大学院=即、入試にあらず 自分のペースで追究したい学問を

【システム工学部】仕事の語りをシステム化 これさえあればあなたもベテラン?!

松田准教授
気付きのキーワードは膨大。
それを使いやすい道具にするのが、松田准教授の情報システム「物語による技術の継承」です。

社会には熟練と呼ばれる“仕事人”たちがたくさんいます。例えば料理人であったり、大工の棟梁であったり。医者や教師、サラリーマンなどの中にも豊かな知識と経験をもつ円熟者がいっぱい。そんな仕事人たちの技能をより多くの人に活用してもらうための“道具(ソフトウェア)”となるのが、現在、システム工学部情報通信システム学科の松田憲幸准教授が筆頭になって研究を進めている情報システム「物語による技術の継承」です。

簡単に説明すると、十分な実践経験を必要とする熟練の技能をこのシステムを使って修得してもらおうというのが狙い。もしそれが料理の情報システムであれば、あなたにもプロ顔負けの料理が作れるかもしれません。「そもそも工学とは、役に立つ道具の仕組みを考えること。より便利でより早く使える、より良い道具。それは誰の、どのような作業のためか。人が仕事の対象をどのように認識しているかによって作るべき道具が異なります。今、われわれが進めているのは、すべての仕事人の、スキルアップを図るための道具。それを情報システムにしていこうというものです」と松田准教授は言います。

研究は、松田准教授と研究室の学生10人。まず取りかかったことは“仕事とは何か”を知ること。「仕事をする人が何を考えて、何を悩んでいるのかを知らなければ、本当に役に立つ道具は作れません」。次が熟練者と、そうでない人との違い。どの分野の仕事においても熟練者は、常に仕事で何が重要か、なぜ重要かを見極めるための“物語”を自身の中で描いているというのです。

「成績のいい営業マンは常に仲間同士で話し合いをしています。なぜ売れなかったのか、問題を出し合い、意見を交換し、納得するまで話し合う。こうして一貫した物語を作る。それは自分たちの仕事を互いに診断しているようなもの。お互いで“見極める能力”を高め合っているのです」。

本来なら仲間同士の話し合いは、空気中に消えてしまう会話のひとつ。それを松田准教授は、気づきの辞書として見極める能力をシステム化。物語の構築を通して気付いたキーワードを体系化して蓄積し、それを閲覧する情報システムを構築しているのです。

「現段階では教師、看護師、林業従事者の物語を蓄積してスキルアップを図る情報システムを具体化しています。日々の話し合いの気付きをキーワードの関係で表し、情報システムは徐々に積み上がる様子を表現します。システムの利用者はいつでも過去の経緯を確かめることができ、話し合いを欠席しても、共通の考え方を取りこぼすことなく手軽に補うことができます。また他のグループとの違いを考慮することで、話し合いの仲間以外の人へも広げます。次々と新しい物語をつむぐことで、時代に対応した最新の、高い能力を維持し続けることが可能になるのです」。

【観光学部】
鵜飼観光をはじめとした有田の活性化 埋もれた観光資源の発掘を地域と共に!

昨年の秋から小畑力人観光学部教授の研究室が中心となって取り組んでいるのが、観光資源の掘り起こしによる有田市の活性化です。有田市といえばミカンが有名ですが、それだけではありません。毎年6月から3ケ月間行われている有田市の伝統的な催し・鵜飼があるのです。この鵜飼は、長良川の鵜飼のように鵜匠が船の上から鵜を操るのではなく、鵜匠が鵜と一緒に川に入って鮎を獲る「徒歩(かち)漁法」と言われる珍しいものです。和歌山県の無形民俗文化財にも指定されています。しかし、その鵜匠も現在では4人しかおられません。この伝統を絶やさないためにも、鵜飼観光を始めとした有田市の活性化の取組がスタートしたのです。

鵜飼が始まる「川開き」の日、例年とは異なるイベントが開かれました。通常6月1日に行われる川開きを一日繰り上げ、毎年4月の「有田ふるさと祭」とジョイント開催されたのです。これは、同時開催による相乗効果を期待したものでした。当日、調査実習に参加した学生たちは観光的視点による現地調査を実施。「ふるさと祭」の日程変更の影響、例えばフリーマーケットの売上比較などといったデータを収集、舟に乗って鵜飼も見学しました。また、紀州よさこい祭の和大踊り子チーム「和歌乱」が、イベントを盛り上げるために参加、演舞を披露しました。

鵜飼グッズの試作品
これらは鵜飼グッズの試作品。茶筒、コースター、行燈。

活性化事業の一環として制作された鵜と鵜匠の一年を描いた「絵本」と、鵜飼の歴史を調査・発掘して編集された「有田川鵜飼物語」を配布、訪れた皆さんには嬉しいプレゼントもありました。舟ではCDから鵜飼のナレーションが流れ、鵜の捕獲から鵜が北の空へ帰っていく別れまでの「鵜飼の一年」に聞き入っていました。ここに紹介したのは、鵜飼観光活性化のための新しいサービス開発の実験的取組なのです。

絵本「有田川鵜飼物語」
有田の鵜飼がわかりやすく描かれている「有田川鵜飼物語」。
色彩豊かで素朴なタッチは懐かしさを感じさせてくれる。

鵜飼はもちろんですが、日本最古のお稲荷さんと言われる糸我稲荷神社もあります。海水浴場は美しいし、シラスも安くておいしい。みかん街道もできました。有田市には観光資源が豊富にあります。同研究室の道澤康裕研究員は、この間、50回近く足しげく現地に赴き、長らく土地に住んでいる人々も気づかない地域資源の掘り起こしに取り組んでいます。

地域との共同研究は地元の人々がその気になって、一緒になって頑張れるかが大切です。 地域の人たちと“協働”した継続的な取り組み、漁獲高全国1位の太刀魚で活性化、有田、湯浅、広川、有田川の広域観光、“宝”は沢山あるのです。

【生涯学習教育研究センター】
ほんものの学び&出会いのネットワーク 高大地域連携KOKÔ 塾「まなびの郷」はおもしろい!!

和歌山大学生涯学習教育研究センターは、平成10年4月に文部省(当時)の省令施設かつ全学的な地域生涯学習拠点として設置されました。全国の国公立大学法人において生涯学習系施設は27センター。なかでも本センターは自他ともに認めるNO.1センターと評価されています。その理由の1つは、市街地に立地する「まちの中の大学」という特徴です。地域の課題を迅速にキャッチし、学内外のネットワークを駆使して、地域・市民のニーズと大学の人材・知的財産を結び付けて、住みよい地域づくり・人づくりをプロデュースしています。

多彩な事業展開の中でも「高大地域連携」の実践は、一般的高大連携のフレームを超え高校を地域づくり共同学習拠点にした新たな教育研究的地平を拓く試みとして全国的に注目を集めています。そのテイクオフは平成14年度から。当時、県立粉河高校の山口裕市氏(現、和歌山県教育長)より、本センターと連携・相談をいただいことが端緒です。「ほんものの学びを体験させたい」という山口校長の思いは、本学との連携から、学校の枠を超えた地域づくり共同学習の場へと発展しました。それがKOKÔ塾「まなびの郷」の原型です。

スタートでは、4つの地域公開講座を開講。翌15年度には講座からWG(ワーキング・グループ)に活動をグレードアップしました。WGではワークショップ型学習と現地調査を必須条件とし、高校・大学・地域の多様な自主的な参画を得て、年齢・分野・業種を超えた「地域づくり共同学習」が躍動し始めました。平成20年度のWGの活動では、教育、環境、情報、門前町、福祉の5つの調査研究が活動しています。

福祉WGに参加した粉河高校生は、次のように語ります。「私たちのテーマは、大阪府熊取町にあるアトム共同保育園の保育研究でした。講義・見学・実習を体験し、私たちは保育の大切さをより実感する機会を与えられました。高校の授業では、絶対に学べない貴重な1年でした」。

KOKÔ塾「まなびの郷」

意見発表やコミュニケーション力が未熟な高校生たちが、現場調査を通じて失敗を重ねつつ「ほんものの学び」を発見し、異世代・異業種の人たちとの交流によってエンパワメントする過程にこそ、KOKÔ塾の魅力があります。その意味において、高大地域連携の「KOKÔ塾は人生コミュニティだ」と堀内秀雄生涯学習教育研究センター長は語ります。

「KOKÔ塾の本質は、全国初の高校・大学・地域社会のネットワーク & パートナーシップ型事業と定義されています。本学は地方国立大学の特徴を最大化して、先駆的な地域教育資源の開発とアクションリサーチを展開しています。本センターは地域連携の最前線を開拓しており、このような高大地域連携は全国的にも例がありません。KOKÔ塾の8年の蓄積により、地域の人々から『粉河高校の生徒さんはマナーが良くなり、地域の財産ですね』という評判が高まっています。地域に支えられていること、これがKOKÔ塾の継続と発展の秘密ではないでしょうか」。

今年度も新たな胎動が始まっています。KOKÔ塾「まなびの郷」。それは地域のつながり力と地域発展の学びの共同化を創る営みであり、大学が社会に貢献し地域社会を元気にする新しい地域連携のスタイルでもあります。

【キャンパス探訪】
地域の誰もが、いつでも利用できる附属図書館を気軽に活用してください。

附属図書館では、教育・研究に対応した資料を所蔵し、多様化する情報資料などを有効活用するため、施設や設備など利用環境の整備を図っています。「地域の誰もが、いつでも利用できる図書館」を目指し、地域との連携を深めることから利用環境づくりを展開しています。

「勉強や研究、読書などの目的で一般の方々の利用も多く、夏には中高生への図書館開放も行っています。図書館ホームページ内の蔵書検索システムOPAC(携帯電話からも利用可能)や、DVDをはじめとした各種視聴覚資料など、快適に図書館を利用できるシステムも充実しています」とスタッフ。

初めて来館される方には不安に感じるような利用登録の申込み、図書の貸出・返却などわからない事があればカウンターまでお問い合わせを。なお生涯学習教育研究センターでは、館外カウンターとしての利用もできます。

和歌山大学附属図書館

【開館時間】
月〜金曜 午前9時〜午後8時30分
(定期試験対応中は〜午後9時30分、春・夏・冬休み期間中は〜午後5時)
土曜 午前10時〜午後5時
日曜(隔週) 午前10時〜午後4時
【休館日】
祝日、夏季(8月13日〜15日) ※その他、冬季、春季、臨時休館あり。
掲示およびホームページでご確認ください。
【問い合わせ】
tel. 073-457-7915
URL http://www.lib.wakayama-u.ac.jp/