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【開催レポート】「18歳からの一票」(第2回):情報収集編

第2回 開催レポート 



テ ー マ  「政治の争点なんて知らんし!ほんまそれな!」
日   時  9月25日(日) 13:30-16:30
場   所  岸和田市立図書館
アドバイザー   越野章史先生 (和歌山大学教育学部准教授)


当日参加者は、
11人。内訳:高校生4人 大学生7人。
会場は、岸和田市立図書館のご協力をいただきました。


【テーマ設定について】


今回の取り組みは、「情報収集はどのようにするのか?」を考え、体験するプログラムでした。前回(第1回)の「ボートマッチを体験しよう」では、選挙の際にどのようなテーマが争点になりそうかを知ることができました。


そして、ボートマッチの設問に答える中で、設問にある用語の意味やなぜそのテーマが争点となると考えられるのかなど、争点テーマについて自分はどう考え、どう判断するのか、そのための知識がないことを実感する声が参加者から聞かれました。第1回開催レポート

そのような声を踏まえ、第2回の今回は、争点となるテーマについて考えるための情報を集め、自分なりの意見を持つためのプログラムにしようということになりました。

用意した条件(場所や道具など)以外は、できるだけ大人たちが干渉せず、高校生や大学生たちが、自分たちで情報を探しあて、自ら読んでまとめ、分析することができるようなプログラムになるようにしました。

*********選挙の争点になりうる
5つのテーマ候補*********
☆憲法改正
 日本国憲法は変えた方がいい?それとも変えない方がいい?

☆集団的自衛権
 日本は「集団的自衛権」を使えた方がいい?それとも使えない方がいい?

☆原子力発電
 原子力発電はやめるべき?それとも続けるべき?

☆沖縄の基地問題
 沖縄の米軍普天間基地、名護市辺野古に移設する?

☆社会保障
 子育て、教育への予算は増やすべき?
************************************

この5つの中から希望するテーマを第1希望と第2希望を書いて投票してもらい1テーマを決定してもらいました。大人も考えるのが難しいテーマが5つ並びました。

テーマの選定の基準は、次の2つから考えました。

①直近の参議院選挙で争点と思われるものから選ぶ
 第1回のプログラム(611)において利用した、「ボートマッチ」を見比べ、直近の参議院選挙で争点と思われ、意見が明確に対立していると思われるものから選定。

②高校生・大学生が比較的短時間で調べやすい
 高校生・大学生が限られた時間で情報集めができそうなものに絞り込みました。

投票の結果、テーマは「憲法改正」となりました。

投票には、岸和田市選挙管理委員会のご協力をいただき、実際の選挙投票所で使用する記載台や投票箱をお借りし、本番の選挙さながらの投票を体験させていただきました

 

 
 

【グループごとの取り組み内容】

テーマを決めるとともに、班も
3つに分けました。班ごとに調べる方法が違っており、新聞・インターネット・映像(ニュース番組)とそれぞれメディアを限定して、テーマに基づいて各メディアがどのような情報の発信の仕方をしているのか調べました。これらを使用したのは、できる限り日常の生活で手にしやすいメディアを扱うことで、家や学校でも応用できるということを実感してほしいためです。

もちろん新聞が4紙も5紙も家にある、あらゆる過去のニュース番組を見ることができる、といった環境が一般的にあるものではありません。重要なことは、自分たちが触れている情報だけが全てではなく、様々な立場から情報が発信され、その内容はずいぶん違ったりしていることに気づき、その気づきによって、今までとは違う情報へのアクセスの仕方を実践してほしいというのが狙いです。

●新聞班
図書館に所蔵されている、各新聞原紙(4社)を過去3年分検索し、テーマについて書かれた記事を調べ、比較検討しました。各新聞社がどのように取り上げ、どのような論調を取っているのかを記録しました。

  

●インターネット班
ネットで検索し、憲法改正についてどのような議論があるのかネット上の様々な記事や文書を調べました。各政党がどのような主張をしているのか、憲法改正を進めるべきと考える政党(改憲派)や改正すべきでないと考える政党(護憲派)があること、また、憲法改正を進めたい立場でも様々な改正の内容が主張されていることがわかりました。

 

●映像班
ここ3年分の様々な放送局で放送されるニュース番組の録画を検証し、番組ごとに憲法改正についてどのように扱って、放送しているのかを調べました。

 

班活動をする前に、情報集めの準備として、次のような観点で情報を集めることを確認しました。

・テーマについての基本的な情報-どんな問題か?
・その問題について、どんな意見の対立があるか?
・対立する意見のそれぞれの主張理由

それぞれの班は、確認した観点から調べてわかったこと・調べてわからなかったこと・考察をメモしてもらいました。考察の中で、自分なりの意見が持てることを今回の目標としました。


基本的に班のメンバーに調べる内容などは、すべてお任せし、情報収集に行き詰ったりしたときに質問があればアドバイザースタッフが答える形式にしました。

班ごとに作業を進め、最後は班でどのようなことがわかったのか模造紙にまとめて報告してもらいました。

◆新聞班では、記事を探して読むところまでの作業が大変でしたが、「憲法改正」について、どの新聞がそれぞれどのような主張をしているのかを整理し、新聞によって見解が違うことに気づかされたという報告もありました。

◆インターネット班は、憲法改正の中でも、実際に条文をこう変えてはどうか、と主張する政党の条文案を紹介してくれました。全面的に改正すべきと主張する政党もあれば、部分的に改正する「加憲」を主張する政党、一方で現状のまま改正する必要はないとする立場の政党もあるとのことでした。

◆映像班は、憲法改正について国会で具体的な議論がなされたときのニュース番組を検証した結果を報告してくれました。インターネット班が報告してくれた全面的な改正や「加憲」など、具体的に現在の憲法について、例えば「96条改正」の議論などについても報告してくれました。

限られた時間の中で、「憲法改正」について、大まかな議論について認識できたと思います。

最後に、今回アドバイザーとなっていただいた、越野先生から講評がありました。
講評の中で印象的だったのは、インターネット班が報告してくれた世論調査の結果を受けてのコメントでした。

取り上げられた世論調査では、憲法改正に「賛成」・「反対」する割合よりも、「どちらでもない」を選択する人が最も割合として高い結果でした。
それに対し越野先生は、憲法改正に関する世論調査だけでなく、様々なテーマの世論調査を見るたびに感じるのは、「どちらでもない」という選択肢を選ぶ人の割合が高いことだ、といいます。このような状況は、単に「関心がない」「だらしない」という評価ではなく、自分の意見をちゃんと持てるほど、学習したり、人と議論したりする時間・機会が、大人も子どももないことの表れではないか、とコメント下さいました。



次回(11月27日)は、今回の経験から、自分なりの考えを持ってもらい、議論する予定です。
 
11月27日からの新たな参加者も募集中です(今回と同じく13:30~16:30で岸和田市立図書館3階です)☆
 

■最後に、今回このプログラムに参加した高校生・大学生の感想を一部紹介します。

・憲法改正という難しい題で、あまりこれまで調べたことのない内容でした。憲法改正は、「第9条」というイメージだったのですが、様々な改正案が出てきて、とても興味の湧く課題でした。

・今回のプログラムは自分にとって、知らないことを学べる場で貴重な時間を過ごすことができたように思います。

・こういうことをあまりしないのでよい経験になりました。

・憲法改正についてよく分かっていなかったが、少しでも理解が深まったと思います。また、自分の意見も少しずつ考えられるようになったら良いと思いました。

・憲法改正について知らなかったことを知ることができました。また、賛成・反対で様々な意見があることが分かりました。

・新聞一社だけの情報では調べるのに限界があるなぁと思いました。

・改めて、メディアから情報をまとめ、アウトプットすることの難しさに気づきました。特に新聞は難しいけど、しっかりと内容と向き合えるので、面白い。