NEWS(イベント案内)

第1回 日本宗教文献調査学 合同研究集会 お知らせ

[日程]2017年9月23日(土・祝)〜24日(日)

[会場]慶應義塾大学 北館1階ホール(東京都港区三田2-15-45)

[主催]科研費(基盤B)「新義真言系聖教の形成と教学的交流に関する基礎的研究」(課題番号 17H02342)(代表:宇都宮 啓吾〈大阪大谷大学〉)

[問い合わせ先]naohashi@center.wakayama-u.ac.jp(大橋 直義〈和歌山大学〉)

170923-24研究集会チラシ

20170923-24研究集会ポスター

9月23日[Sat.] 13:00〜17:30

12:00受付開始

基調講演

永村 眞 (日本女子大学 名誉教授)

「醍醐寺に伝わる顕・密聖教」

 

公開シンポジウム① 文化財の複製とデジタルアーカイヴス

吉田 謙一(富士ゼロックス西日本)
 「複製古文書作製による文化伝承推進」
大河内 智之(和歌山県立博物館)
 「3Dプリンターによる仏像レプリカの作成と活用」
大澤 留次郎(凸版印刷)
 「OCR技術の歴史的資料への応用 —系図血脈資料からくずし字まで」
村川 猛彦(和歌山大学)
 「系図を対象としたデータベースシステムの構築」
永崎 研宣(人文情報学研究所)
 「宗教文献研究のためのテクストと画像の効果的な共有に向けて」
【司会】 宇都宮 啓吾(大阪大谷大学)

 

9月24日[Sun.] 10:00〜12:00

9:30受付開始

 

[ポスターセッション] 10:00〜12:00

各地の寺院経蔵文献調査のポスター報告

※ポスター報告にご関心をお持ちの方は連絡先アドレスにご連絡下さい

[展示・紹介ブース]10:00~12:00(一部、23日からオープンします)
[古典籍展観ブース]
[デジタル・複製技術  体感ブース]
[報告書・目録等の頒布(販売)ブース]

※頒布等ご希望の方はご連絡下さい

 

9月24日[Sun.] 12:30〜17:30

公開シンポジウム② 聖教が繋ぐ― 中世根来寺の宗教文化圏 ―

【司会】

宇都宮 啓吾(大阪大谷大学)
 「全体の目論見/智積院聖教とその関連聖教をめぐって」

【KeyNote】

中山 一麿(大阪大学)
 「覚城院所蔵の中世期写本と根来寺・真福寺」

【報告】

海野 圭介(国文学研究資料館)
 「天野山金剛寺の聖教と周辺寺院」
横内 裕人(京都府立大学)
 「頼瑜時代の仁和寺」
阿部 泰郎(名古屋大学)
 「根来寺関係聖教からみる真福寺大須文庫聖教の多元・重層的特質」
苫米地 誠一(大正大学)
 「聖教の伝来と大伝法院・根来寺」

【コメンテーター】

永村 眞(日本女子大学 名誉教授)
中川 委紀子(根来寺文化研究所)
坂本 正仁(大正大学)

 

主催:科研費(基盤B)「新義真言系聖教の形成と教学的交流に関する基礎的研究」(課題番号:17H02342,代表:宇都宮啓吾)

共催:科研費(基盤S)「宗教テクスト遺産の探査と綜合的研究—人文学アーカイヴス・ネットワークの構築」(課題番号:26220401,代表:阿部泰郎),科研費(基盤B)「金剛寺聖教・文書類を基盤とした社寺ネットワークの解明とその蔵書史的研究」(課題番号:15H03186,代表:海野圭介),科研費(基盤B)「再興・布教から霊場化へ—増吽関連の寺院経蔵調査を中心に—」(課題番号:15H03181,代表:中山一麿),科研費(基盤C)「称名寺聖教を中心とした東国寺院における唱導資料と説話に関する研究」(課題番号:16K02394,代表:高橋悠介),歴史的典籍NW事業「紀州地域に存する古典籍およびその関連資料・文化資源の基礎的研究」(代表:大橋直義),国文学研究資料館 歴史的典籍NW事業

 

連絡先: naohashi@center.wakayama-u.ac.jp(大橋 直義)
関連URL:名古屋大学 大学院 文学研究科 附属人類文化遺産テキスト学研究センター

 

[開催趣意文]

 今日に至る寺社資料(聖教・古文書)調査の淵源を尋ねますと、近代的な意味においてのそれは、黒板勝美氏が主導した東寺・醍醐寺・金剛峯寺等の調査研究、および『大日本古文書』『国史大系』の刊行等といった基礎的資料・情報の普及に求められるとしてもよいでしょう。それ以後、数多の寺社の宝蔵がひらかれ、たとえば『高山寺資料叢書』『真福寺善本叢刊』『醍醐寺文書聖教類目録』といった資料叢書・目録類が学界にもたらされてきました。このような成果が日本史学・日本語学・訓点語学・日本文学に与えた影響については、いま改めて言を費やす必要もないほどに多大です。そして現在においてもなお、日々、日本各地の蔵がひらかれ、そこに収蔵される様々な文化財の存在や意義が明らかにされつつあります。
 しかしながら、調査団の母体が「科研費による調査」「博物館・文書館が中心となった自治体主導の調査」「寺社が主導する調査」など多岐にわたりうることを原因のひとつとして、各調査団が明らかにしえた情報は他の調査団との間で充分に共有されているとは言いがたい状況にあるのではないでしょうか。現今の研究の進捗によって、往時の寺々は僧侶の移動や典籍の貸借によって広域的な知のネットワークを形成していたことがより明らかになりつつありますが、そのこととむしろ対照的であると言ってもよいかもしれません。
 このような現状に鑑み、寺社に収蔵される文献等の文化財を調査・研究することについての〈知見〉を可能な限り共有することを目指し、「日本宗教文献調査学 合同研究会」を立ち上げることといたしました。ここでいう〈知見〉には、個別の寺社に存する文化財についてはもちろん、調査を行い、それを公開する際の技術的側面に関わる情報や、これから調査に従事しようとする若い世代の研究者たちも含めた人びとのがりも含んでいます。当面は、科研費等に基づく宗教文献調査団のいくつかが共同し、寺社に残る文化財についての知見と、人や技術とをぐハブ組織としての合同研究集会を企画・運営してゆく所存です。ご関心を同じくする皆さまのご参集を切望します。

 

[公開シンポジウム①「文化財の複製とデジタルアーカイヴス」趣意文]

 情報技術の発達によって、人文学研究、特に、典籍類を対象とした研究においても、データベース等からの検索や画像データからの資料閲覧といった電子情報資源を中心に、近年では、くずし字読解・OCRといった研究支援など、様々な恩恵を受け、「知識の共有化」から、更には「知の創造」といった方向までもが志向される現状にあります。
 しかし、本シンポジウムで対象とする聖教研究の場合、その内容は、諸寺社における様々な背景、例えば、宗派・流派・学問的環境・地域・人的交流等々の様々な位相によって多岐に亘っており、求める電子資源自体も現時点で事足りるとは言いがたい実状にあります。そこで、我々、研究者自身が何を求めているか、また、そこにどのような意義があるのかを提言することも必要でしょうし、場合によっては、データの公開を行なうことによって聖教研究のための共有資源を蓄積していくことも必要になるものと思われます。そのためには、個々人がそれぞれ別個に活動するだけでなく、それらを集約できる、また、情報や問題点、展望等を共有できる場、それも、聖教研究者に特化するのではなく、幅広く、情報系研究者や聖教・文化財等と関わる人々までもが一堂に会する場が設定されるべきものと考えています。文化財関連分野との連携については、聖教研究が、それぞれの人文学分野における「知の解明」という側面を有するだけでなく、聖教の整理や保全とも関わっている以上、文化財保護や地域文化の再発見、また、それらに繋がる人材育成といった社会的な意義をも有していることを忘れるわけにはいきません。
 そこで、本シンポジウムにおいては、上記のような認識に基づき、文化財の活用や保全としての企業や博物館の試み、聖教研究と情報系研究とのコラボレーション、そして、デジタルアーカイブに関わる現状を伺う機会を設定いたしました。これは、シンポジウムとしての統一性を志向するというよりは、広く全体を見渡した上で、聖教に関わる者としての立ち位置を再確認し、どのような連携を取ることができるのかを考える第一歩になればと考えてのことです。皆様の積極的なご参加をお待ち申し上げます。

[報告要旨]

吉田 謙一「複製古文書作製による文化伝承推進」旧家や神社仏閣、教育機関などに眠る伝統文書を本物そっくりに複製または復元しています。 色合いや和紙の種類・手触り感・製本に至るまで原本に忠実に再現し、手で触れて活用してもらうことを提案する社会貢献活動です。
大河内 智之「3Dプリンターによる仏像レプリカの作成と活用」和歌山県では、集落の過疎化・高齢化が進む中、管理の担い手が減少した寺社(堂祠)を中心に盗難被害が続発している。県立博物館が県立和歌山工業高校と連携して進めている、3Dプリンター製の仏像レプリカを活用した防犯対策について報告する。
大澤 留次郎「OCR技術の歴史的資料への応用 —系図血脈資料からくずし字まで —」従来、歴史的資料のテキスト化に際して、OCRが十分に活用されてきたとは言い難い状況にあったが、技術の進展により突破口は徐々に開かれつつある。活字資料からくずし字まで、凸版印刷の取り組み事例を紹介する。
村川 猛彦(和歌山大学)「系図を対象としたデータベースシステムの構築」系図画像とOCR技術に基づく位置情報付きテキストに対し、人物名と付随情報の判別、線分の検出および人間関係の獲得を試み、データベースを構築してきた。それらを系図画像上に表示させて閲覧を支援するWebアプリケーションについても報告する。
永崎研宣(人文情報学研究所)「宗教文献研究のためのテクストと画像の効果的な共有に向けて」宗教文献研究も情報技術の発展の恩恵を受けるようになりつつある。その事例として、大正蔵1億字の全文テクストと各種経典画像や学術資料とを連携させた研究支援環境であるSAT大蔵経DBを中心に現状を概観する。

[公開シンポジウム②「聖教が繋ぐ—中世根来寺の宗教文化圏—」趣意文]

 寺院経蔵は平安期には、平等院や鳥羽経蔵などに代表されるが如く、権威を象徴する為の秘庫として、経蔵を開く、或いは継承することが聖俗ともに正当性を保証する重要なファクターの一つであったと言えるでしょう。故に、本来は唯一無二の宝物がそこに存在していることが重要視されたのですが、鎌倉期以降にはその写本や類似書、偽書の流布が顕在化して、地方でも在地寺院の宝蔵化が進んでいったようです。称名寺や真福寺はその代表格と言えるでしょう。しかし、平安期の中央寺院と鎌倉期以降の地方寺院との間には、前者が存在そのものに意味があったのに対し、後者はむしろ実用に資する書の集積という傾向が指摘できます。経蔵のもつ意味も謂わば、秘宝物庫から知蔵庫へと変容していったと言えるでしょう。中世末期の戦乱を経た江戸期は、版行技術の革新とも相俟って、正に再生と拡散の時代です。現在みられる寺院所蔵古典籍の9割以上がこの時代に生産されたものと考えても大過無いでしょう。幕府も各藩も人心掌握と領内統治のため積極的に寺院の庇護または整理をし、地誌編さんの情報供給源である寺院経蔵は藩によって手厚く保護されていたところも少なくありません。
 このような史的概観からすると寺院経蔵とは、時代による質的変容を遂げながら、我が国の史的変遷を映し出す鏡像に他ならないと言えるでしょう。この事は寺院経蔵がいつの時代にあっても、史的学問領域の研究対象として存在し続けてきたことが証明しています。現代に於いてもそれは例外では無く、関連する学領域での新出資料報告の多くが寺院経蔵の調査からもたらされていることは周知の通りです。
 本シンポジウムでは、近年の寺院調査研究を先導してきた、主要なプロジェクトを代表する方々にご参集いただきました。その主目的は、各調査の進捗報告のみならず、研究プロジェクト間の連携の模索にあります。現状では寺院資料は調査チームによる占有資料となっていると言わざるを得ず、一部の重要典籍を除けば、成果の報告も継承もままならないと言えます。しかし、ある経蔵内資料の多くは別の経蔵の資料との関連に於いて成立している以上、経蔵間の比較研究は必然です。所謂寺院ネットワークと言われる課題が言われ始めてから既に久しいですが、未だ部分的な研究に止まっており、その主たる要因は、比較対象たり得る資料の共有化が図られていないことにあると思われます。しかし、初日のシンポジウムにもみられる如く、我々は近い将来に今見ている資料に数倍するテキストや画像を閲覧できる環境になると予測され、寺院資料に関しても多くのプロジェクトがその模索を開始していると聞き及びます。
 来たるべき近未来の研究環境に応じた研究課題には、どのような事が想定できるのでしょうか。本シンポジウムでは、寺院調査の先駆的プロジェクトであり、かつ根来寺の頼瑜聖教の流入という共通の課題を有する研究の現在を一同に報告いただき、そこから派生する研究の未来図をご参集の皆様とご一緒に議論して参りたいと考えております。

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