2009年度学生の研究活動に関する受賞実績

公開日 2010年04月01日

受賞内容

  • 氏名:宮部 真衣さん
  • 論文名:「翻訳リペア支援のための言い換え文自動生成手法の提案」
  • 賞名等:大会優秀賞
  • 学会名等:情報処理学会創立50周年記念 第72回全国大会

概要

世界規模のインターネットの普及により,ネットワークを介した多言語コミュニケーションの機会が増加しています.しかし,一般に多言語を十分に習得することは容易ではありません.母語を用いた多言語間コミュニケーションを実現するために,機械翻訳を利用した取り組みが現在行われています.近年,機械翻訳技術は急速に進展していますが,完璧な翻訳を行うことは困難です.折り返し翻訳を用いて翻訳の修正(翻訳リペア)を行うことにより,翻訳文の精度を向上させることができます.しかし,翻訳リペア作業はユーザにとって負担のかかる作業です.どのように修正するかを考え出すことは容易ではなく,作業の支援が必要とされています.そこで本研究では,ユーザの翻訳リペア作業を支援するために,翻訳精度が向上する可能性のある言い換え文を自動生成する仕組みの提案を行いました.

評価実験で用いた翻訳不適箇所推定ツール

評価実験で用いた翻訳不適箇所推定ツール

発表中の様子

発表中の様子

受賞内容

  • 氏名:山中 崇規さん
  • 論文名:「おしゃべり鉢べえ:他者の存在を感じさせる鉢植え型会話ボットシステム」
  • 賞名等:グループウェアとネットワークサービス研究会優秀発表賞
  • 学会名等:第74回グループウェアとネットワークサービス研究会研究会

概要

Web上での第三者間コミュニケーションが活発に行われる一方で,公共空間での第三者間コミュニケーションは見知らぬ他人に関わりを持つことへの心理的抵抗が大きく,未だ発展途上です. そこで,公共空間での第三者間のゆるやかなコミュニケーションを実現する鉢植え型会話ボット(おしゃべり鉢べえ)を開発しました. 「おしゃべり鉢べえ」がある利用者の発言を引用した発言を行うことで,他利用者の発言を,他者と直接話すことなく知ることができ,また自分の気持ちを他利用者へ伝えることができます. 観察実験の結果,システムの外見と振る舞いは,利用者のシステムへの会話の動機づけとして有効に働くことを明らかにしました. 今後は,第三者間コミュニケーションが活発に行われるか,さらに効果的な支援手法について,検討を進めていきます.

おしゃべり鉢べえの外観

おしゃべり鉢べえの外観

発表中の様子

発表中の様子

受賞内容

  • 氏名:田呂丸 智史さん
  • 論文名:「音声記録を用いたアイデア共有システムメモラソンの開発」
  • 賞名等:学生奨励賞
  • 学会名等:情報処理学会創立50周年記念 第72回全国大会

概要

昔から人の創造性が重視されており,発想支援の研究も多く行われています. グループ内で日常的に創造的思考を行う発想法として,樋口健夫氏考案のグループアイデアマラソンシステムという手法があります. これは,毎日アイデアをノートに記録し,そのアイデアをグループ間で共有方法です. ノートを用いた記録は手軽で場所を選ばないという利点がありますが,大量のノートを持ち歩くことや,記録したアイデアを離れた人に伝えることは困難です. そこでこれらの問題を解決するために,iPod touchを用い,記録に音声認識を用いるアイデア共有システム「メモラソン」を開発しました.

発表中の様子

発表中の様子

音声記録を用いたアイデア共有システム「メモラソン」の概要

音声記録を用いたアイデア共有システム「メモラソン」の概要

受賞内容

  • 氏名:宮森 翔子さん
  • 論文名:「ウェブ収集発話を対象とした若年者判別の検討」
  • 賞名等:学生奨励賞
  • 学会名等:情報処理学会創立50周年記念 第72回全国大会
発表中の様子

発表中の様子

概要

現在, 子どもを有害な物や情報から守るため,様々な場面で年齢確認が行われている. また,顔画像などの生態情報を用いた年齢確認の実用化に向けた検討が進められている. 本研究では,その一つとして,発話情報を用いた若年者自動判別を検討する. 今回,次の二つの実験の比較を通じて,自動判別の目標値と自動判別に用いる年齢閾値を求めた.

  • 人間の主観による若年者判別
  • 機械による自動での若年者判別

また,これらの検討は,利用実態に即した調査を行うため,一般家庭等の実環境データを用いるのが望ましい. そのため,ウェブシステムによる若年者発話の収集及びデータベースとしての整備も行った.

受賞内容

  • 氏名:赤桐 隼人さん
  • 論文名:「TANDEM-STRAIGHTスペクトル包絡推定法の改良及び最適化に関する検討」
  • 賞名等:奨励賞
  • 学会名等:日本音響学会関西支部若手研究者交流研究発表会

概要

音声分析変換合成システムであるTANDEM-STRAIGHTのスペクトル包絡推定法は,分析時刻に依存しないパワースペクトルの推定法であるTANDEMと,調波位置の値を変えない平滑化処理が含まれる. 本研究では,高品質な音声変換を目的として,TANDEMにより求められたスペクトルを冪乗した上で平滑化処理を行うスペクトル包絡推定法を提案し,その内部設計パラメタの最適化について検討を行う. 検討の結果,提案した方法を用いることにより,STRAIGHTを含む従来の手法よりも高い精度でスペクトル包絡を推定できることが示された.

発表中の様子

発表中の様子

受賞内容

  • 氏名:宮森 翔子さん
  • 論文名:「ウェブ収集発話を対象とした人間と機械の大人・子ども識別能力の比較」
  • 賞名等:奨励賞
  • 学会名等:日本音響学会関西支部若手研究者交流研究発表会
発表中の様子

発表中の様子

概要

発話情報を用いた大人・子どもの自動判別を提案する. ウェブシステムを通じた実環境発話の収集実験を行った. 若年者判別の実験において,人間の主観による判別と機械による自動判別の比較を行った. 結果,自動判別の精度が人に比べて28.2%下回った. 年齢閾値は13歳が妥当であることがわかった. 自動判別精度を上げるため,追加の子ども発話の収集実験を行っている. また,自動判別の特徴量の検討が今後の課題である.

受賞内容

  • 氏名:榎本 紗耶香さん
  • 論文名:「在宅療養患者の救助支援を目的とした情報共有システムの開発」
  • 賞名等:優秀論文賞
  • 学会名等:社団法人情報処理学会 マルチメディア、分散、協調とモバイルシンポジウム(DICOMO2009)

受賞内容

  • 氏名:池信 克也さん
  • 論文名:「三次元仮想空間上における留学生を対象とした日本文化理解支援システム」
  • 賞名等:ヤングリサーチャ賞
  • 学会名等:社団法人情報処理学会 マルチメディア、分散、協調とモバイルシンポジウム(DICOMO2009)
Second Life内における日本文化理解支援システムの画面例

Second Life内における日本文化理解支援システムの画面例

概要

発表中の様子

発表中の様子

現在,日本政府は留学生30万人計画を推し進めており,今後日本を訪れる外国人の数が増大することが確実となっています.私たちは,留学生が日本における習慣やマナーをいち早く習得し日本の生活に慣れるためのサポートが必要と考えました.例えば,日本にやってくる外国人の中には日本語が話せず,また,日本独特のマナーについて知らないために,トラブルが発生しています.しかし,留学生が自らの言語で,日本においてのマナーを学ぶことができる機会はあまり多くはありません.そこで,三次元仮想空間Second Life上における留学生を対象とした日本文化理解支援システムの構築を行い,その評価実験を行いました.実験の結果,三次元仮想空間上における留学生を対象とした日本文化理解支援の可能性があることを示しました.

表彰式の様子

表彰式の様子

受賞内容

  • 氏名:土井 俊央さん
  • 論文名:「スーパーマーケットの生鮮部門バックヤードの従業員参加による改善活動とその考察」
  • 賞名等:優秀発表賞
  • 学会名等:第44回人類働態学会全国大会

概要

サービス産業は21世紀における我が国の中核産業として位置付けられています.しかし,サービス業の生産性向上は低く,高効率化が求められています.手作業による複雑な作業のある職種では,人間の技量に頼るところが多く生産性の向上は容易ではなく,生産性の向上や作業の改善を行う必要があります.こういった業種の一つにスーパーマーケットの生鮮部門があり,本研究ではその作業改善を行いました.

本研究では,人間工学に基づいた改善活動を行いました.特に,参加型人間工学を活用し,従業員の方々の改善活動への参加を促しました.そして,様々な観点から問題点を抽出し,改善案を提案しました.これらの改善案を実施したところ,無駄な移動の削減,移動距離の低減,従業員や荷物の運搬作業の改善やコミュニケーションの密接化などにおいて改善が確認されました.

受賞内容

  • 氏名:宮部 真衣さん
  • 論文名:「多言語医療受付支援システムM3の開発」
  • 賞名等:研究奨励賞
  • 学会名等:第28回医療情報学連合大会

概要

発表中の様子

発表中の様子

在日外国人数の増加によって、日本国内の様々な場面で多言語コミュニケーションが必要になっています。現在、医療分野では、医療通訳者同行による対応を行っているものの、その需要は急速に増大しており、24時間対応や緊急時対応などが困難です。そこで、病院受付での正確なコミュニケーションを情報技術によって支援するために、多言語医療受付支援システムM3(エムキューブ)の開発を行いました。

M3では、外国人患者の受診を支援するための機能として、対話機能、受付問診機能、受診手続き支援機能、道案内機能、Q&A機能を提供しています。システムでは翻訳者が予め正確に翻訳した用例対訳を利用し、正確なコミュニケーションを実現しています。
簡易問診画面

簡易問診画面

受賞内容

  • 氏名:榎本 紗耶香さん
  • 論文名:「在宅療養患者のための災害時における患者情報共有システムの開発」
  • 賞名等:研究奨励賞
  • 学会名等:第28回医療情報学連合大会

概要

発表中の様子

発表中の様子

近年、地震や台風などの大規模な自然災害が頻繁に発生しています。これを受けて現在では安否情報を伝えるサービスなどが普及していますが、これらのサービスでは情報の伝達相手は家族間などに限定されています。しかし、災害発生時には、在宅で人工呼吸器などの医療機器を使用している難病患者は、数人の支援がないと避難が困難である場合があります。そこで我々は、家族以外にも医療関係者等への広範囲の情報共有により、在宅療養患者の救助される可能性の向上を目的として、在宅療養患者のための災害時における安否確認と災害時支援スタッフ間での医療情報共有のための患者情報共有システムを開発しました。

本システムは、災害時の情報開示許可期間のみ、患者の安否情報および位置情報、緊急時医療手帳情報を日常診療の担当者以外に予め登録された近隣の保健所や市町村の担当者へも開示し、救助支援のための情報を広範囲に提供します。緊急時医療手帳には、かかりつけ医など救助を行う際に有用と考えられる情報が登録されています。これらの情報を救助関係者に提供することで、救助支援を行います。

携帯電話上の災害時伝言板システムの画面

携帯電話上の災害時伝言板システムの画面