アジアにおける防災・減災現地研究
日本同様、水田などの農地転用により沖積平野の都市化が進むモンスーンアジア各国において、実際の洪水災害を事例に災害地理情報・計画研究を進めています。具体的には、三井物産環境基金、科研費などにご支援いただきながら、
- 2009年フィリピンマニラ首都圏台風オンドイ被災地
- 2011年タイ王国バンコク首都圏大洪水被災地
- 2013年フィリピンレイテ島台風30号被災地
にて、土地利用-地形改変-洪水被害の関係を、現地測量、地理情報整備、インタビュー調査などを通じて分析しています。
他分野の研究と異なる点は、長期的な時間軸で災害強度の空間分布を捉える点です。
例えば、盛土開発地や、スラム地区の拡大プロセスを、微地形環境と関連させて過去から災害時、災害後まで長期的に、緻密に検証することで、洪水被害との関係性、将来の減災に向けた計画が検討できると考えています。
アジア各地では、日本では予想できない現地の洪水への順応プロセスがあります。
例えばフィリピンでは、洪水で発生した瓦礫すら、スラム街の再構築のため瞬時に用いられます。
また、タイでは、長期洪水時には伝統的な船生活になり、漁労や船屋台で当面しのぐ意思があります。
こうした文化的・自然史的背景の違いがもたらす現場レベルの洪水対応への影響は、画一的土木構造ではなかなか対処困難な、無視できない重要な課題だと考えています。
アジア調査に関心のある方々をお待ちしています。