“最後の星空”にうっとり  和歌山天文館 23年ぶり投影会
        
 “水道坂のプラネタリウム”の名で親しまれた「和歌山天文館」(和歌山市鷹匠町)で12月11日、23年ぶりに投影会が開かれた。同館は天文教育に尽力した故高城武夫さんが1959年に私費を投じ建設。81年の閉館後は全く利用されていなかったが、プラネタリウム本機の移設保存が決まり、「和歌山星空再発見プロジェクト」が企画した。集まった市民は“最後の星空”をしばし時を忘れて見上げた。
 高城さんは大阪市立電機館(現大阪市立科学館)で初代プラネタリウム主任を務めており、故郷での天文教育普及を願って天文館を建設。全国5番目のプラネタリウムとして注目を浴び、当時は遠足や見学の子どもたちで賑わった。
 プラネタリウム本機は、穴をあけた板金を内側から照らすピンホール式で、現存するものは珍しい。同プロジェクトはドーム型の館と本機の保存活動を2000年から展開。投影会は、本機が和歌山市立こども科学館での保存が決まったのを受け開催した。
 この日は200人が参加。最初に同プロジェクト代表でみさと天文台研究員の豊増伸治さんが「これだけ多くの人が集まったのは高城さんの業績のなせる技。地元の盛り上がりで館の保存をなして欲しい」とあいさつした。
 その後、光を落とし真っ暗になったドーム天井一面に、星々が映し出されると、集まった人から大きな歓声と拍手が沸き上がった。新たに発見された高城さんによる星の解説テープが流され、冬空の星座や物語を話す高城さんの肉声が会場に響いた。
 和歌山市中之島の浜口実子さんは「当時のプラネタリウムの様子がよく分った。高城さんの声が聞けてよかった」。また、高城さんの二女の桑野まりさんは「星が映し出された時は涙が出ました。父の声も聞け、これだけたくさんの人が集まってくれて感激です」と喜んでいた。
 豊増さんは「これはやらなければならなかったと実感した。みなさん星空を眺めながら昔の思い出をみているのが伝わってきました。本当にやって良かったです」と話していた。
 なお、こども科学館で12月25日(土)から来年(2005年)5月15日(日)まで特別展「高城武夫と和歌山天文館」を開く。問い合わせは同館(073・432・0002)。

写真=多くの市民が集まり、星空を仰いだ)