和歌山大学 システム工学部 システム工学科 環境科学メジャー 社会基盤システム学研究室

研究

※研究実績の詳細は"メンバー"ページから大学HPの研究者総覧にアクセスして確認してください.

地盤災害(平成23年9月の紀伊半島大水害)(2011年度~継続中)

平成23年台風12号による紀伊半島大水害および平成24年九州北部豪雨災害などはこれまでの豪雨災害対策を根本から見直すきっかけとなりました.これからの豪雨災害への対応はこれまでの想定を超える可能性を認識しておくことが大切です.また,災害対応をより実効あるものとするためには,ハード対策とソフト対策を有機的に結び付けることが重要です.そこで,本研究では平成23年台風12号による豪雨災害に関する調査研究(地盤・地質調査や数値解析など)を実施して災害の実態を明らかにするとともに,紀伊半島の豪雨災害特性や耐災性を評価することを目指しています.さらに,紀伊半島のように山間部が多く海岸線が長い地域に適した防災技術の開発や災害に強いまちづくり(防災・減災計画)の検討も進め,リスクマネジメントの観点から地域の豪雨災害対応力の強化を目指しています.

災害後の那智川流域の3D図(地理情報システムGISを使った地形分析)
災害後の那智川流域の3D図(地理情報システムGISを使った地形分布

最近の発表論文(外部サイト:中部地質調査業協会)

防災教育(防災ジオツアー)(2014年度~継続中)

2011年(平成23年))の東日本大震災と紀伊半島大水害は,これまでの災害対応を根本から見直すきっかけとなりました.これからの災害対応は,「災害に強いまちづくり」と「災害に強いひとづくり」を密接に結び付け,平時から継続して取組んでいくことが望まれます.そこで,このような取り組みの一つとして,地域資源を守り活用しながら防災対策と結び付けることで災害対応を地域振興へ転換する,すなわち防災とまちづくりの相乗効果で地域防災力を高める仕組みの構築を進めています.特に,都会から離れた中山間・沿岸地域(紀伊半島南部)を対象に,ジオツーリズムを通した防災教育システムの構築を目指しています.紀伊半島南部は平成23年台風第12号で土砂災害や河川災害が多発しました.復旧・復興は進んでいますが,その爪痕はいまでも至る所に残されています.また,南海トラフ地震により甚大な被害の発生が予想されている地域の一つでもあります.その一方,この地域の9自治体にまたがる南紀熊野ジオパークが2014年8月28日に日本ジオパークに認定され,ジオツーリズムを通した地域活性化への期待で盛り上がりを見せています.本研究では,このような特徴を持つ紀伊半島南部に注目し,地域資源であるジオ(地球)と災害現場を組み合わせた"防災ジオツアー"を検討し,防災教育システムとしての可能性を考察しています.

火成岩体で発生する土砂災害(表層崩壊・土石流)を学ぶジオツアー
火成岩体で発生する土砂災害(表層崩壊・土石流)を学ぶジオツアー

最近の発表論文(外部サイト:和歌山大学防災研究教育センター)

土壌地下水汚染(サステイナブルレメディエーション)(1996年度~継続中)

水俣病やイタイイタイ病に代表される水質汚濁,最近話題となったばかりのPM2.5による大気汚染は誰もが知っている環境問題でしょう.それでは,テトラクロロエチレンやヒ素などによる土壌地下水汚染を知っていますか?土壌地下水汚染とは,土壌や地下水などで構成される地下環境が有害物質によって汚染されることで,1980年代に顕在化し現在でも全国で話題になることの多い比較的新しい環境問題です.陸上に存在する水の大部分を占める地下水は水循環や水環境の土台として重要なのはもちろん,水質や水温が安定していることから貴重な水資源にもなっています.地域によっては,飲料水のほとんどを地下水に依存しています.一方,資産として重要な土地を構成する土壌が汚染されると,環境面だけでなく経済面の価値まで低下してしまいます.このため,土壌地下水汚染は環境,資源,経済といった観点から早急に解決しなければならない問題です.そこで,現在は,数値解析による汚染メカニズムの解明のほか,汚染現場の土壌に棲息する微生物を活性化させて有害物質をその場で無害化してしまう原位置バイオレメディエーション技術の開発を行っています.また,土壌地下水汚染対策を効果的に実施するための評価手法として,リスクマネジメントやLCA(ライフサイクルアセスメント)などの手法の検討を行っています.

地下水汚染解析事例(廃棄物不法投棄現場からの有害化学物質の挙動解析)
地下水汚染解析事例(廃棄物不法投棄現場からの有害化学物質の挙動解析)

最近の発表論文(外部サイト:J-Stage)

流域水問題(紀の川流域の栄養塩類)(2000年度~継続中)

水は石油などと異なり持続可能な資源ですが,決して無限に使い続けられるものではありません.近年,河川水や地下水の水質汚濁が問題になっています.また,都市化の進展などにともない,自然の水循環システムがそこなわれ,渇水の頻発や生態系の劣化による自然環境の破壊も生じています.さらにゲリラ豪雨に代表される異常気象の影響も加わり,安定した水資源の確保が質的にも量的にも困難になってきています.このような傾向は日本だけでなく,地球規模で生じており,今後も私たちが快適な生活を送るためには,水を守り,有効利用していく必要があります.このため,河川水質調査やコンピュータシミュレーションなどを行って「豊かな水環境の創出」を目指して研究しています.現在は,和歌山大学が位置する和歌山市の水道水源となっている紀の川を対象に,洪水時や渇水時の河川の流れの状態の変化,生活排水や工場排水などの人間活動が河川水質に与える影響について調べています.特に,紀の川を水源とする水道水の異臭味問題の解決を目指して,窒素やリンといった栄養塩類に注目して研究を進めています.

紀の川流域の全窒素および全員の排出負荷量解析(GISによる空間分析)
紀の川流域の全窒素および全員の排出負荷量解析(GISによる空間分析)

最近の発表論文(外部サイト:J-Stage)

上水道の水処理(既存浄水場の水質改善)(2011年度~2014年度)

和歌山市の上水道は,大正14年に給水を開始して以来90年近くの歴史があり,5浄水場を有し,公称施設能力は213,034 m^3/日です.このうち,加納,出島,島橋の3浄水場はスラリー循環形高速凝集沈澱池(以下高速沈澱池)を用いて,紀の川の表流水を凝集沈澱・急速ろ過方式で処理しています.残り2浄水場のうち真砂浄水場は紀の川の伏流水を緩速ろ過方式,滝畑浄水場は滝畑川の伏流水を膜ろ過方式で処理しています.全国的に見て,浄水施設の老朽化,ならびに原水水質が悪化している状況下で浄水水質基準の強化に対応するために,多くの水道事業体では施設更新の課題を抱えています.特に,中小規模の水道事業体では財政面から容易に更新できないのが実情です.和歌山市は中規模の水道事業体に該当しますが,水需要が年々低下し料金収入が減少する状況を踏まえ,事業全体の効率化と経営の健全化に取り組み,その中では,老朽化施設の整備や施設の統廃合等を進めています.本研究は,既存浄水場の施設整備による水質改善や効率的な水質管理の構築などをテーマに進めています.

ばっ気処理によるトリハロメタン除去工程
ばっ気処理によるトリハロメタン除去工程

最近の発表論文(外部サイト:J-Stage)

PAGE TOP