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デザイン情報入門セミナー2009

2009年度のデザイン情報入門セミナー(川角担当分)では、ICTにより私たちのライフスタイルが変化し、それに応じて既存のアーキタイプ(建築や空間デザイン)が変容することを解説しました。

講義の終わりに「情報化が進むことで既存の建築や都市機能はどう変化するか」について論述をしてもらいましたが、ややステレオタイプの意見が多いようでした。改めて講義のテーマについて簡単に論考しておきます。情報化時代の空間デザインを考えるひとつの糧にしてください。

情報化時代の建築/都市の変化(論考)

学生からの意見で圧倒的に多かったのは、情報化が進むと私たちの生活は便利になるが、同時に人との出会いや交流が失われ、ひきこもりや他人とのコミュニケーションがなくなる、というものでした。 たしかにそういった状況になる可能性はありますが、それはあまりに単純な見方でしょう。

実例をあげましょう。明治時代に我が国に電話が導入されたときにおなじようなことを心配する知識人がたくさんいました。電話で話ができるなら人はみんな家から電話で用事をすませてしまう、街にでかける人はいなくなってゴーストタウンになってしまう、と。でも、実際には電話を使って簡単に人と会う約束ができるようになったので、これまで以上に街に出かける人が増えた、のだそうです。現在でも電話ですべてをすませる人はいませんし、人とのつながりも失われていません。電話という技術はいい意味で私たちのライフスタイルの中に組み込まれ、受け入れられています。

21世紀は情報化時代です。明治時代の電話に変わってインターネットやマルチメディアがコミュニケーションの主役になりました。新しい技術は私たちの生活や行動を変える可能性があります。好きな人に告白するのは直接会って言葉で伝えるべきでしょうか?それともメールで?(^^)

たぶん直接会う方がいい、と答える人が多いのではないでしょうか。では、手紙ならどうでしょう?ラブレターをもらって嫌な気持ちになる人は少ないと思いますよ。(嫌いな人からの手紙でなければ)手紙とメール、どちらも言葉で思いを伝えるメディアなのにメールだといいかげんで、手紙だと真剣に思うのはまだメールが登場して日の浅い、私たちの日常にしっかりと組み込まれていない道具だからなのでしょう。

学校が情報化してインターネットで講義に参加できるようになると、人と会わなくなって人づきあいができない子供が増えるという意見は“古い学校”のままならそうでしょうね、と賛成します。これまでの学校は教室があって知識を教師から教えられる場所でした。これからの学校はコミュニティセンターや集会施設のように同世代だけでなく、いろんな人が集まって意見交換や地域交流のための場所になるかもしれません。学校の果たす役割が変わるのであれば校舎やキャンパスのあり方も変わって当然でしょう。

商店やショッピングセンターはこれまでのモノを売るための“陳列場所”から、モノを売る人、買う人が自分の欲しい物について相談やセールスを行うショールームのようになるかも。決してお店がなくなるわけでも商売が衰退するわけでもなく、モノを売ったり、買ったりする手順や方法が変わるわけです。

テクノロジーは便利で効率的な生活を実現するのと同時に、マイナスの影響を与えることもあります。そして、私たちが気がつかないうちに私たちの生活を変えていきます。テクノロジーのもつ功罪の本質を自分で見極めた上で、世間一般で言われるようなありきたりな主張(ゲームばっかりやっていると人づきあいができないとかそういった主張をする評論家が多いでしょう?)に流されないこと、次の時代のライフスタイルを構想できることが情報デザインであり、デザイン情報学科で学ぶことでしょう。

論考といいつつ、散文でうまくまとまらなかったですが、情報化時代の空間デザインとして一考してみてください。(2009年5月末)