和歌山大学 システム工学研究科 システム工学部 デザイン情報学科

ユニバーサルデザインを考慮したWEBページの構築技法研究交流会:松延拓生(和歌山大学システム工学部デザイン情報学科)

ごあいさつ

2004年に和歌山県産官学研究交流会を実施しました。研究代表主査は満田先生、研究主査を村川先生と私の3名です。テーマは「ユニバーサルデザインを考慮したWEBページの構築技法研究交流会」。

概要

本格的な高齢化社会の到来を控えて、年齢や障がいの有無に関わらず全ての人々に、わかりやすく、使いやすく、かつ発信者が伝えたい情報が正しく的確に伝わるWEBページとはどういうものか?どのようにすれば製作できるか?を研究交流会を通じて深く追求していく。

単なるWEBアクセシビリティ、WEBユーザビリティの実現にとどまらず、ホスピタリティや持続可能性、拡張性をも視野に入れて、21世紀の情報発信のあり方を様々な角度から検討する。ソフトウェアからソーシャルウェアへの進化を目指して、「情報発信のユニバーサルデザイン化」を地方から実現する“さきがけ”となるように、産学官の叡智を結集いたしたい。

第一回研究交流会(2004年8月6日実施)

会場:和歌山市男女共生推進センター 6Fホール

『ウェブアクセシビリティ 人にやさしいウェブサイト構築術』

講師:IBM ウェブアクセシビリティー認定アドバイザー スタジオ ミュー(STUDIO μ)代表 高田 三鈴 氏

8341−3が制定された直後ということで、講演内容のかなりの部分でJISについての解説を行っていただきました。音声ブラウザによるページの検証や公共性の高いWEBサイトの方向性を地方自治体の具体的な事例をもとにして検証するなど非常に内容の濃い研究会でした。 会場からも今後のTABLEタグのあり方やCSSの構築技法およびCSSをうまく実装した実例に関することなど、活発に次々に質問がなされ、予定の終了時間を大幅にオーバーしてしまうほど盛況な会となりました。

第二回研究交流会(2004年10月26日実施)

会場:和歌山県経済センター 9F大会議室

『株式会社バーチャル和歌山におけるユニバーサルデザイン対応について』

講師:(株)バーチャル和歌山ネットソリューション営業第二部 部長 川崎秀頼 氏

『Web閲覧支援ツールUDカラーについて・・・技術的補足』

キステム(株)Comcarry推進部 岩崎浩 氏

赤や緑色の区別がつきにくい色覚に障がいを持つ人は日本に約300万人いると言われています。地元を代表するポータルサイトのひとつであるバーチャル和歌山では色覚バリアフリーの無料ソフトウェア(UDカラー)を組み込むなど、全社を挙げてアクセシビリティの向上に取り組まれています。研究交流会では、バーチャル和歌山の今後のサイトデザインへの取り組みビジョンや、導入した閲覧支援ツールのポイント、メリットなどを詳しく語っていただきました。参加者からも今後のアクセシビリティのあり方や、色覚障がいのある方への配慮に関してなど、積極的な質問が多数あり、たいへん有意義な研究交流会となりました。

第三回研究交流会(2004年12月6日実施)

会場:和歌の浦アート・キューブ 多目的ホール(キューブA)

『Macromedia Flashのアクセシビリティ』

講師:(有)プロスパー総合経営 代表取締役 稲木俊一 氏

『Macromedia Flashの効果的な活用モデルの検討』

講師:和歌山大学システム工学部 助手 松延拓生 氏  西田善彦 氏

Flashのコンテンツをアクセシブルにすることはできるか?、Flashのアクセシビリティ機能を強化するためどの点が改良されたか?、をテーマにそれぞれについての解説と、アクセシビリティについての基本的な考え方、WEBサイト構築におけるユーザビリティ、ユーティリティとの関連、さらにはアクセシビリティの検証ツールやFlash Player7のアクセス支援技術への対応等を稲木氏にご指導いただきました。 また、松延、西田からは、大学発のFlashの効果的な活用モデル等が報告され、稲木氏からプロの視点でのアドバイスを頂戴いたしました。

第四回研究交流会(2005年1月26日実施)

会場:和歌山県経済センター9F中会議室

『Webアクセシビリティチェックの重要性』 -障がい者・高齢者・地方在住者のWeb利用の現場から -

講師 四国アクセシビリティセンター 代表 高市 瑞穂(たかいち みずほ) 氏

Webアクセシビリティの重要性や取り組む際のポイント、地方の現場での実情や今後の可能性などを音声読み上げソフト、ホームページ作成ソフトを使用しての実技を交えながらご指導いただきました。後半には、高田三鈴さんにパネリストとして加わっていただき、地方における情報アクセシビリティについてディスカッションいただきました。会場の参加者からも、積極的な質問が多数あり、たいへん有意義な研究交流会となりました。