研究テーマ紹介

現在、私達の研究室で行っている研究のテーマです。

高分子圧電薄膜を用いた高周波集束超音波探触子の製作に関する研究
高周波型探触子の代表的な使用例として超音波顕微鏡がある。超音波顕微鏡は物質内部を非破壊で検査する事が可能である。高周波形探触子の特性として透過力は弱いが高分解能であるため,精密な検査ができ半導体分野においては、X線では検出しにくい剥離,クラック等の検査に威力を発揮している.しかし,高周波形探触子を安定した性能で製作する方法は確立されていない.原因は振動子となる膜の厚さを数[μm]単位で制御する必要があるためである.本研究では,高分子圧電材料P(VDF/TrFE)を用いて周波数80~100[MHz]の高周波探触子の製作を行う
高分子圧電膜の積層によるM系列符号化送信超音波探触子の製作と評価
広帯域,高S/N比を両立させるための手法にパルス圧縮法が考え出された.その手法の一つにM系列信号を用いたものがある.本研究では高分子圧電膜を積層して一つの探触子でM系列符号化パルス列を発生させることを考案し,M系列符号化送信超音波探触子の開発を行う.
ポンプ波を用いた回折波の非線形測定によるき裂の評価
材料内部の欠陥は金属疲労や腐食,あるいは接合など加工工程などにおいて発生することがある.特に繰り返し応力で生じる閉じた疲労き裂や応力腐食割れが材料内部に存在すれば,これらは進展しやすいため早期発見が必要となる.そのため,定量的な非破壊評価による材料内部の閉口き裂の評価が重要視されている.本研究では底面傷を一探触子法で斜角探傷し,傷面全体から反射するエコーのスペクトル解析を行う.さらに,重要なき裂の先端部の閉口状態を詳細に検査するために,き裂先端部から発生する回折波に注目し,さらに外部から積極的に開閉を与えるためにポンプ波を付加する実験を行う
表面SH波音弾性による圧延鋼板部材の主応力測定の研究
現場での実体応力測定の実用化において有望な音弾性の研究を行う.音弾性にも用いる弾性波の種類や方法によりいくつかの手法がある.その中で基本となるのが複屈折音弾性性である.この手法は,最初に考案された音弾性手法であり,直交方向に偏向した二つの横波を板厚方向に伝搬させ,この二つの横波の伝搬速度の異方性が主応力差に比例することを利用した応力測定法である.この手法で得られる異方性には,応力による異方性のほかに材料自身が初めから持つ集合組織による異方性も含まれており,応力を測定するためにはこの二つを分離する必要がある.しかし,組織異方性を分離するためには無応力での異方性の測定が必要となるため,実際の構造物での応力測定には適用できない.この問題を解決する手法として表面SH波音弾性がある.この手法は表面SH波を互いに直交する方向に伝搬させ,その伝搬速度の異方性から主応力差を求める手法である.この手法で得られる異方性は応力による異方性のみであるため,複屈折音弾性で問題となる組織異方性に関係なく応力を測定することができる.現在,表面SH波音弾性はT形表面SH波センサの開発により高精度な主応力差の測定が可能となっている.しかし,現段階で測定できるのはあくまでも主応力差であり,主応力そのものは測定できていないため,単軸応力の評価はできるが平面応力の評価はできない.そこで,本研究では応力による異方性による主応力差の測定のみでなく,応力による伝搬速度の変化から主応力和も測定する手法を新たに提案する.主応力差に加え主応力和がわかればそれぞれの主応力が測定でき,平面応力状態での二軸応力の評価も可能となる.
超音波を用いたフレッシュコンクリートのW/C推定に対する練混ぜ時間の影響
道路,トンネル,高架橋などの様々なコンクリート構造物,現代社会において重要な機能を果たしている.しかし,近年,コンクリート構造物の早期劣化が社会問題となっており,コンクリートの強度と耐久性への関心が高まっている.コンクリートの強度は水セメント比の影響を受け,コンクリートの早期劣化の原因として配合設計以上の水をコンクリートに加える加水問題がある.そのため,施工現場でのまだ固まっていない状態であるフレッシュコンクリートのW/Cを短時間で早期判断することで,施工前に配合設計通りの強度が得られるかの確認が可能である.しかしながら,W/Cの測定手法には様々なものがあるが,どれも短時間での測定には不向きで,また特殊な技術を必要とするため,汎用的には適用されていない.そこで,迅速で簡単な測定が可能な超音波を用いたW/Cの測定方法に関する研究を行う.
空間フリースキャニングによる水中超音波探査システムに対する基礎的検討
救助活動や捜索活動において,水中の視界が悪い状況や船の進入が不可能な湖沼での水中探査は困難とされている.そのような状況の中で早急な人命救助,車両や凶器などの物体探査では,装置を容易に持ち運びでき,かつ水中での視界状況に左右されない水中探査システムが切望されている.視界状況が悪い中でも水中撮像が可能な手法として超音波がある.しかしながら,超音波による撮像では超音波ビームの走査が必要である.単一の超音波探触子で撮像を行う場合,簡易ではあるが機械的な走査機構により撮像範囲が限定される.そこで,もし超音波探触子の空間的な位置と超音波の放射方向を高速に取得できれば,この超音波探触子を自由に空間的スキャンすることで任意のエリアを撮像することが可能である.また,測定者が特定の場所をあらゆる方向から集中的に超音波を照射することで,より詳細な超音波画像を得ることが可能となる.本研究では,単一の超音波探触子を手に持って走査しながら水中撮像が可能な新しいシステムとして空間フリースキャニングによる水中超音波探査システムを提案し,このシステムの構築に関する基礎的検討を行う.

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