従来の計算機としてのコンピュータは、数値計算やデータ処理など
人間が行うと多大な労力と時間を伴う仕事(主にルーチンワーク)を
肩代わりする道具として利用されてきました。
近年のコンピュータはその計算能力も飛躍的に向上し、最新のスーパーコンピュータ
を使うと1秒間に数千億回もの科学数値計算が可能です。
こうしたコンピュータの性能の向上に伴い、これまで人手で解けなかった数学の問題
などもコンピュータを使って解くことができるようになりました。
また、近年のインターネットの普及により、コンピュータは計算だけではなく、
コミュニケーションにおいても欠かせない道具となり、
今日のコンピュータは人間の社会活動のあらゆる側面を支えています。
さて、このように高性能化、高機能化されていくコンピュータですが、今後の
技術の発展によって、コンピュータはどこまで人間に近づくことができるの
でしょうか?
古くは中世の自動機械から、現代のSFにおける人造人間やロボットに至るまで、
知能を持った機械の実現は、古来からの人間の夢でした。
今日のコンピュータはさまざまな人間の知的活動を代行できるようになりましたが、
その多くが人間が与えたプログラムに従って動いているものです。
今後コンピュータが我々の日常生活により身近なものとして浸透していくためには、
プログラミングやコンピュータの専門知識を持たない一般の人が容易に扱え、
またコンピュータ自身が能動的に人間の思考や発想を支援するような
技術が必要となります。このように知能を持ったコンピュータの実現に向けて、
人間の知能のメカニズムを解明し、コンピュータ上で実現する方法を研究する分野を
人工知能(Artificial Intelligence: AI)といいます。