補足5:オペレーティングシステムとは


コンピュータは最初の頃、 今の電卓やポータブルワープロのように ハードウェアとソフトウェアが一体になっていて、 会計処理とか国勢調査とか弾道計算とか、 そういった特定の目的にしか使えないものでした。 もちろん「プログラム内蔵方式」が実現されてから、 ソフトウェアを取り替えることは可能でしたが、 それでも機種ごとに専用のソフトウェアを用いていました。 また、今のように稼働中にソフトウェアを切り替えて、 一つのコンピュータをいろんな目的に使うということも困難でした。

しかし、 コンピュータが普及し始めて色々なコンピュータが作られるようになると、 コンピュータの機種ごとに専用のソフトウェアを作ることが だんだん大変になってきました。 また、高価なコンピュータが特定の用途でしか使えなかったり、 苦労して作成したソフトウェアが特定のコンピュータでしか動かず、 場合によっては、そのコンピュータの「寿命」とともに ソフトウェアも使えなくなるという状況は、 はなはだ「不経済」だとも考えられるようになりました。

そこで、コンピュータのハードウェアに要求される「機能」を整理して、 それらを「抽象化」するソフトウェアを用いることが考えられました。 実際に仕事に使うソフトウェアは、 この「抽象化された機能」だけを使って作成します。 こうすると一つのソフトウェアを いろいろなコンピュータで動かすことができるほか、 ひとつのコンピュータ上で 複数のソフトウェアを切り替えて使うことも容易になります。

このように「コンピュータの機能を抽象化するソフトウェア」のことを、 「オペレーティングシステム」と呼びます。

オペレーティングシステムの登場によって、 コンピュータは様々な用途に使える「汎用性」を得ることができました。 すなわち「汎用コンピュータ」の誕生です。 また、ソフトウェアはコンピュータのハードウェアから切り放されたために、 単体で流通することが可能になりました。 これは「アプリケーションソフトウェア」という領域が 発生したことを意味します。

情報処理センターで今使っているのは IRIX という名前の UNIX 系オペレーティングシステムです。 他に Windows95 や MacOS などいろいろなものがあります。

蛇足ですが、最初の本格的なオペレーティングシステムは、 IBM が大型汎用コンピュータとして発表した 「システム360」用に作られました。 だから、「オペレーティングシステム」という単語は、 IBM の「登録商標」です。 なお、「システム360」の 360 は、 「360 度どのような方向でも使える」というところから 採られたという話です。