着任にあたっての覚え書

 2002年9月1日 和田俊和
ご挨拶
2002年9月1日より、和歌山大学 システム工学部 情報通信システム学科 に教授として着任致しました。これまでお世話になりました多くの方々に感謝すると同時に、より一層のご指導、ご鞭撻を賜りたいと存じます。今後ともよろしくお願い致します。
連絡先
〒640-8510 和歌山市 栄谷 930番地 和歌山大学 システム工学部 情報通信システム学科
TEL 073-457-8079 E-mail  twada@ieee.org
研究
今後はこれまでの研究に加え、下記のような研究を行おうと考えております。
自己完結的システムにおけるビジョン
Self Consciousness の実現: 広く言えば「自我」の実現です。現在のコンピュータビジョンでは、人間の持つ視知覚という特定の機能だけを模倣するといった研究が行われています。しかし、それだけでは部品としての視知覚の研究をしたことにしかなりません。本来、視知覚は聴覚などの他の知覚系、および、行動系との連携の中で本来の機能が発揮できるはずです。こういった観点から、人間を含む外的環境とのインタラクションを起こす自律システムを構築し、その中に環境に対する相対的自立性を持った自己参照的な情報の流れを作り出すことが必要です。こういったシステムとその中で行動系と連携して機能するビジョンに関する研究を行います。
新しいコンピュータビジョン
Non-physics based Vision: コンピュータビジョン研究の 多くは、物理世界を数理的にモデル化し、画像・映像の情報を数理物理モデルに変換するというものです。例えば、Shape From Shadingは幾何形状が未知の物体に関して、光源の強度分布や物体表面の反射率分布などのPhotometricな情報が分かれば、形状が復元できるということを示しています。しかし、これは単に未知数の多いままでは解けない連立方程式に条件を加えているだけに過ぎません。最近流行のImage Based Renderingの研究は、幾何形状を与えてPhotometricな情報を推定するShape From Shadingの逆向きの研究に帰着するものが多く見受けられます。こういった方法論だけでは、手詰まりを起こすことは目に見えており、新たな方法論が必要となってきます。つまり、数理的に記述された物理現象に基づいて、「画像から因果関係の連鎖を逆に辿るのではないビジョンの方法論」が必要であるということです。このために、以下のような方向で研究を進めます。
  • 識別指向的ビジョン: 画素、画像特徴、シーンという解析の対象すべてを「識別」という操作のみで実現しようとする試みです。特に、現在は最近傍識別器を用いた事例ベースのコンピュータビジョンシステムを現在構築中です。
  • 情報理論的ビジョン: 解析の結果を落とし込む意味領域を物理世界ではなく、情報の量の世界にとり、最もコンパクトな表現が行えたときにConsistentになるという基準で考えるビジョン。
  • その他
頑健なビジョン
破綻しないビジョンアルゴリズム: 多くの画像解析アルゴリズムは、それが適用できる前提条件を持っていますが、多くの場合、その前提条件が不明確です。これを明らかにしていくことによって、より頑健なビジョンアルゴリズムを構築していく予定です。
知覚のためのセンサ
センサデバイスの開発: 現在、高速な距離計測デバイスの開発を行っております。これ以外にも、音を使った特殊なセンサデバイスの開発を計画しています。
成果の社会への還元
応用システム: これまでに培ってきた技術と理論の成果を、社会に還元できる形にしていくための研究です。アプリケーションの対象は限定しませんが、特に現実世界とネットワーク世界の両方のセキュリティについては具体化を進めていこうと考えております。
理屈
その他、パターン認識、CVに関する理論的研究

人材募集
一緒に研究をしたいという方が居られれば、遠慮なくご一報下さい有能な方であれば、時期の保障はできませんが、できる限り御希望に沿えるように努力致します。お知り合いの方にも声をかけてみて下さい。
研究指導
博士課程の学生、研究機関の研究者が行っているコンピュータビジョンに関する研究指導でお手伝いできることがあると思います。ご連絡下さい
研究支援のお願い
これまでにも、御支援下さった企業に対しては、問題解決のためのアイデア提供研究指導システム構築などを行い、特許の取得や、Excellent Paper、ソフトウエアの提供、などの成果を出してきた実績があります。今後も、このような活動を進めていこうと思いますので、御希望があればご連絡下さい

私をご存知ない方はこちらをご覧下さい。