背景と目的

日常生活の多くの場面で,個人の身体の特徴の違いによって起こる問題があります.たとえば,高身長の人が低い机の上での作業に不便を感じたり,低身長の人が高いところに手が届かなかったりするなどが挙げられます.しかし,実際にその人が感じている感覚を他者が体験することは簡単ではありません.

本研究では,物理的な身体の大きさや体型による,周囲の環境や他者との相互作用の感じ方を「身体感覚」と定義しています.これらの感覚を体験するには,他者の身体を自分の動作と連動し,他者の身体スケールを体験することが有効であると考えました.そこで,本研究では,他者の身体属性をもったモデルに利用者の動作を反映し,画面上に提示することで,他者の身体感覚を体験することを目指します.

身体変換システム イマミラー

イマミラーは,他者の身体感覚を体験するシステムです.スクリーンや大きな画面にシステムの映像を投影し,全身を動かして体験します.図1はイマミラーを体験中の様子です.2人の利用者の動作が,画面上でお互いの身体形状モデルに反映されています.

イマミラーを体験中の様子
図 1. イマミラーを体験中の様子

デモムービー

実現方法

実現方法
図 2. 実現方法

(1) 身体形状の取得

KinectFusionにより,人物の全身の身体形状を取得します(図2(a)).

(2) 可動モデルの作成

取得した身体形状に人手により,モデリングソフトでボーンを挿入し,ボーンによって変形する可動モデルを作成します(図2(b)).

(3) モデルへの利用者の姿勢反映

Kinectの骨格認識機能から取得した他者の姿勢を,可動モデルのボーンに反映し,画面上の可動モデルを動かします.これにより,可動モデルが利用者の動きに連動します(図2(c)).

参考文献・発表

  1. 今村美聡,吉野孝:映像上の身体交換による他者の身体スケール提示システムの提案,2015年度情報処理学会関西支部支部大会,G-07,pp.1--3 (2015).
  2. 今村美聡,吉野孝:イマミラー:可動モデルを用いた他者の身体属性提示システム,情報処理学会,インタラクション2016,デモ展示 2C43 (2016).

連絡先

  • 今村 美聡:imamura.misato at g.wakayama-u.jp
  • 吉野 孝:yoshino at sys.wakayama-u.ac.jp

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