異文化間コミュニケーション支援システム AnnoChat


和歌山大学大学院 システム工学研究科
社会情報ネットワーク研究室
藤井 薫和

異文化間コミュニケーションについて

 異なる言語や文化を持つ人々と意見を交換したりコミュニケーションをとる 「異文化間コミュニケーション」は,高い語学力が要求されたり,相手の文化に関する知識が必要であるなど, 初心者にとって敷居の高いものだといえます.

 そこで,異文化(異言語)間でのコミュニケーションを簡単かつ円滑にできるようなソフトウエアを開発し, 評価していくことを研究テーマとしています.

チャットツールAnnoChat

 コンピュータ上で行う一般的なコミュニケーションツールには,電子メールやチャットなどがあります.

 本研究では,異文化間でのコミュニケーションを支援するためのチャットツールとして,AnnoChatを開発しました. AnnoChatは,インスタントメッセンジャー風のチャットツールに,機械翻訳機能,リアルタイム折り返し翻訳機能, アノテーション機能をつけたものです(図1).

AnnoChat2の画面
図1. AnnoChat2の画面

システムの特徴

(1) 機械翻訳

 機械翻訳機能により,ユーザが母国語で入力した内容を,相手の言語に翻訳できます. これにより,不慣れな外国語を読み書きする負担を減らすことができます.

(2) リアルタイム折り返し翻訳機能

 リアルタイム折り返し翻訳機能により, 入力中のメッセージを相手語に翻訳したときに,「ちゃんと意味がわかる翻訳結果になってるか」どうかを 母国語でリアルタイムに確認することができます.

(3)アノテーション機能

 アノテーション機能により,意味のわからない語句に,説明をつけることができます. これにより,ユーザの文化に特有の語句や項目に説明をつけたり, チャット中に言いそびれたことを後から補足することが可能になります.

アノテーション機能とは?

 アノテーションとは,日本語で「注釈」と呼ばれるように, 本システムでは,特定の語句に付けられた「語句の説明」をアノテーションと呼んでいます.

 AnnoChatで一般的なアノテーション機能は,図1に示すように,リンク(アンカー)付きの語句を クリックすると,語句の説明が表示されます.

 図2のように,特定の語句に対して複数のアノテーションを付けることができるほか, 文章や画像で表現することが可能となっています.

アノテーションの画面表示
図2. アノテーションの画面表示

 現在,アノテーションに関しては,一般的な付与機能のほか, 推薦機能,依頼機能の3機能を提供することで,ユーザのアノテーション利用を促進したり, 理解向上の支援につながらないかと検討しています.

参考文献・発表

  1. 藤井薫和,重信智宏,吉野孝: 機械翻訳を用いた異文化間チャットコミュニケーションにおけるアノテーションの評価, 情報処理学会論文誌,第48巻 第1号,pp.63-71,(2007).
  2. 藤井薫和,重信智宏,吉野孝: AnnoChat2: 意味情報を共有可能な異文化間コミュニケーション支援システム, FIT2006 第5回情報科学技術フォーラム 一般講演論文集,Vol.3,pp.477-478, (2006).
  3. 藤井薫和,吉野孝: 異文化間コミュニケーションツールAnnoChat2を用いた意味情報の伝達実験, グループウェアとネットワークサービスワークショップ2006論文誌, pp.121-126, (2006).

連絡先

本研究は,情報通信研究機構(NICT)の言語グリッド(Language Grid)プロジェクトとの共同研究です.

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update: 04.12.2007