カリキュラムの特徴
社会インフォマティクス学環は、世の中の困難な問題に立ち向かう人材の育成を目指しています。
世の中で起きる問題は、誰にも予測ができず、また、正しい答えがありません。こうした込み入った社会の問題に立ち向かうには、幅広い重要な知識の習得が大切です。
経済学や観光学・工学・データサイエンスの知識を関連付けた新しいカリキュラムを構築しました。このカリキュラムは、いわば、比較し吟味するための「巨大な水槽」です。視座を高く持つことが、ものごとの本質を見極め、理解をより深めるからです。
図:水槽は広いほど比べやすい
ポリシー
ディプロマ・ポリシー
和歌山大学の目的及び使命並びに学位授与の方針に則り、社会インフォマティクス学環が定めた教育目的に基づいて編成した教育課程を通して、次の目標に到達していると認められる者に学士(社会情報学)の学位を授与する。
1.幅広い教養と分野横断的な学力
幅広い教養と科学的思考力を基盤として、自然、社会、人間、文化を的確に捉えて活動する能力と実社会における多様な活動に適応できる分野横断的な学力を身に付けている。
2.専門的知識や技能
社会における有用なデータや情報にかかる専門的な知識を身に付けている。
3.課題解決力と自己学修能力
社会の課題解決を指向した、データや情報の分析能力を身に付けている。
4.協働性とコミュニケーション能力
主体的にデータや情報を用いた社会の課題解決策を提起し、他者と協働しながらそれを実現していく力を身に付けている。
5.地域への関心と国際的視点
地域への関心と理解を有し、国際的な視点も兼ね備え、社会の課題を的確に把握する能力を身に付けている。
カリキュラム・ポリシー
学士(社会情報学)にかかる学修成果を身につける教育課程を次の方針に基づき編成し実施する。
1. 自然、社会、人間、文化を捉えるための基盤となる幅広い教養と普遍的な思考力を身につけるための教養教育科目を設定する。
2. データ利活用力を培い、経済学、観光学、工学にまたがる分野横断的な専門知識・技能を身につけるための専門教育科目を設定する。
3. 時代と社会が求める企画力・実践力・発信力、他者と対話・協働して課題解決に取り組む能力を身につけるための科目を設定する。
4. 主体的に課題に取り組み、自らの考えや成果を論理的に説明する能力を身につけるための卒業研究を課す。
5. 地域への関心と理解を深めるための科目や、広範な情報を収集・分析・活用するために必要な外国語運用力を身につける科目を設定する。
養成する人材像
入学後においては、ディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシーを踏まえ、複数の専門領域を包摂した教育課程を通して、テクノロジーにもとづく柔軟性を持ち、かつ、社会的通用性を備えた人材として、次の知識・技能、能力を身につけることを期待する。
1.ビジネスサイエンス力
社会の現場で必要とされる、経済学や観光学などのビジネスサイエンスで構築されたファンダメンタルなモデルをデータエビデンスベースのアプローチを用いた工学により、幅広い知識やノウハウを活用することができること。
2.データ利活用力
社会に存在するデータを利用し、何を活用できるのか、また、新たにどのような観点で情報収集すべきかを思考できる。さらには、どのような分析を行い評価し、それを検証して将来の予測に活かすことができること。
3.企画力・実践力・発信力
データ分析から導き出された成果を社会の様々な活動に適用し、社会の活性化や新たな付加価値創出につなげていくことができる。
カリキュラム
教養教育科目
語学や情報処理基礎などの、現代社会人の自然・社会・人間・文化を捉える幅広い教養と普遍的な思考力を身につけることに加えて、時代や社会が求める実践力の基盤を形成することを目的とした科目
連携展開科目
協働演習や自主演習などの、教養教育科目で得た知識やスキルを進化・発展させることを目的とした科目
専門教育科目
ミクロ経済学や観光マーケティングなどの経済学・観光学分野における主要な知識を身に付け多様な社会活動を把握・理解できる能力を養うことや、プログラミングや人工知能などの工学分野における情報技術を用いたデータ分析にかかる基盤となりかつ汎用性の高い能力を涵養することを目的とした科目
なお、段階的な修得を図るため基盤専門科目と応用領域科目に分けることで見える形で専門性を高める工夫と修得速度に合わせた無理のない履修計画ができるようにしています。
基盤専門科目
商業簿記や経済地誌などの社会科学系科目や確率統計やデータサイエンスなどのインフォマティクス系科目を配置し、横断的・汎用的な知識の修得を目的としています。
応用領域専門科目
サービスマネジメント論やエネルギービジネスなどの社会科学系科目やデータマイニングやビジネスインテリジェンスなどのインフォマティクス系科目を配置し、縦断的・専門的な知識の修得を目的とし、4つの専門性の高い科目群を用意しました。
①地方自治&産業系科目群:
②エネルギービジネス&ファイナンス系科目群:
③観光サービス系科目群:
④インフォマティクス系科目群:
専門演習
1年生から4年次まで、(1)ビジネスサイエンス力 (2)データ利活用力 (3)企画力・実践力・発信力の3つの能力を身につけることを目的に設定し、実データを活用した演習および自治体や企業等と連携し少人数による実践的な演習を配置しています。
履修単位の登録上限設定の状況
各学期の上限は26単位(1年次後期以降、GPAに応じて緩和)
※なお、各学期の上限に含まない科目もある。詳しくは履修手引参照。
卒業研究
主体的に課題に取り組み、自らの考えや成果を論理的に説明する能力を身につけることを目的とし、4年次に卒業研究を設置しています。
特色ある教育
楔型構造による知識の定着化と理解の頑強化
工学的なフレームワークに、経済学や観光学の学術的な楔を横断的に打ち込むことで情報・テクノロジーと実社会と社会科学を繋ぐ楔や、発展的な社会実装へ繋ぐ楔へとなり、より活きたレジリエンスな教育が構築できます。
この楔は、学生の知識の定着と科目間の結束の両方の役目を担い、延いては社会と学生を、社会と大学を繋ぐこととなる。なお、このような応用的で幅を持たせ、多様な社会への対応力を養う科目を本学環では応用領域専門科目と呼び、既存学部との差別化と特徴的な科目群を配置しました。
これは単に、複数領域を一つに集めた“足し算”ではなく、本学環が目指す文理融合の“掛け算”となることを期待します。
4つの専門性
和歌山大学経済学部・観光学部・システム工学部から強みとした非常に興味深い専門科目から4つの専門科目群を形成しました。
①地方自治&産業系科目群:
地方国立大学で養った地域活性化やデータを利用したノウハウを学生に教授し、国内外に発信していく公務員や地域活性に資する人材を輩出することを目標とする。
②エネルギービジネス&ファイナンス系科目群:
ファイナンスのデータ分析・評価の裏付けを教授し、実践的なグリーン人材やエネルギー人材を輩出することを目標とする。
③観光サービス系科目群:
観光サービス系科目では多様な人々とデータの活用を通してコミュニケーションの取れる協働性があり企画力を発揮するマーケティング人材や観光サービス人材を涵養することを目標とする。
④インフォマティクス系科目群:
データサイエンスからインテリジェンスへの変革を教授し、社会科学を理解し技術的専門性を実践できる情報処理人材やDX人材を輩出することを目標とする。
これらの科目群は専門性を高める上での羅針盤となり、学生が自由に選択して自らの知識を発展させることが可能になる。またその過程で、①ビジネスサイエンス力 ②データ利活用力 ③企画力・実践力・発信力の3つの能力を身につけ
①情報技術に強い、公務員や地域活性に資する人材
②情報技術に強い、グリーン人材やエネルギー人材
③情報技術に強い、マーケティングや観光サービス人材
④社会問題のファンダメンタルな分析に強い、情報処理やDX人材
となることが本学環の教育課程のゴールです。
卒業要件
4年以上在学して所定の単位数を取得することによって、学環を卒業(学士の学位を取得)することができます。
<128単位>
(教養教育科目:30単位、専門教育科目:76単位、自由選択科目:4単位、専門演習:14単位、卒業研究:4単位)
主な卒業論文のテーマ
学年暦
シラバス