観光学における創発性の系譜ーー「観光客の他なるものとの接触と変容」に着目して
公開日 2026年07月22日
国際観光学研究センター(CTR)研究員である遠藤 理一講師による論文が、一般社団法人日本社会学会が発行する機関誌「社会学評論」に掲載されました。
論文タイトル
観光学における創発性の系譜ーー「観光客の他なるものとの接触と変容」に着目して
著者
遠藤 理一 和歌山大学大学院観光学部
書誌事項
社会学評論 77(1) pp. 164-180
要旨
本稿の目的は,観光学における「観光客の他なるものとの接触と変容」に関わる議論の系譜を探ることにより,モビリティ論における創発性の概念の位置付けを再検討することである.モビリティ論のキー概念である創発性については,物理科学を援用してその性質が説明されてきた一方,移動に関わる具体的な社会現象からの検証は行われてない.本稿では移動現象の一形態を扱う観光学においてどのように創発性が論じられてきたのかを探り,創発性の人文社会科学的な文脈での理解を試みる.
本稿では創発性を,観光についての社会思想の文脈で論じられてきた「観光客の他なるものとの接触と変容」として理解し,それが観光学の6名の論者の議論にどのように現れてきたのかを検討した.
観光学における創発性と観光の関係は①観光の定義に関わる現象,②議論の枠外にあるもの,③基本的認識という3つのパターンで論じられており,そこには,観光は移動や社会を定式化するものと考えられてきたという共通点があった.還元すれば,観光学のこれまでの議論には「控えめな創発性」というモチーフが通底していた.本稿は「移動的なものとしての社会」の特徴を創発性に求めることには再検討の余地があると結論しつつ,「観光客の他なるものとの接触と変容」の技能や条件についての検討を通じた,観光における創発性についての議論の発展の可能性を指摘した.
キーワード
世モビリティ、創発性、観光学

