【開催報告】「第六回鉄道津波対策サミット」―乗務員と乗客の避難力で津波から逃げ切る―
公開日 2024年04月26日
毎年11月5日の「世界津波の日」は、和歌山県の「稲むらの火」の故事にちなんでおり、和歌山は「津波防災」の学習・発信拠点であります。国立大学法人和歌山大学とJR西日本和歌山支社では、2013年から実践的津波避難訓練や鉄道防災教育・地域学習列車「鉃學」など、地域振興につながる防災訓練プログラムの開発を行い、2017年から共催開催する「鉄道津波対策サミット」も第六回を迎えました。
令和5年11月4日(土)13時より、会場のホテルグランヴィア和歌山とオンライン参加のハイブリット形式で開催し、産業界、自治体、高校・大学関係者、学生、一般参加者170名のご参集をいただきました。
今回のサブテーマに「乗務員と乗客の避難力で津波から逃げ切る」を掲げました。
一刻を争う時は「誰かに任せる」のではなく、乗務員と乗客が協働して津波から逃げ切らなければなりません。
発災時に、乗務員は情報収集、避難判断、避難経路の確保、乗客への案内・対応を行う必要がありますが、一方で乗客側にも率先して避難するマインドや避難の支援などが求められます。
2011年3月11日午後2時46分、東日本大震災が発生した時、阿部義美さんが乗車した石巻行き下り列車(4両編成)が、野蒜駅から約600m進んだところで緊急停止しました。地震発生時に津波からの避難を行った乗客の阿部さんの事例と、当時乗務員を指導する立場だった洞口政弘さん(JR東日本東北本部仙台統括センター宮城野乗務業務ユニット副長)の事例を通して、避難対応時の課題やあり方について、「乗客の避難力を高める」視点で津波対策の必要性を共有できました。
乗客・乗務員双方の視点から災害に強い、レジリエントな鉄道を目指し、継続的に「鉄道津波対策サミット」を実施することで、和歌山大学&JR西日本近畿統括本部・和歌山支社が鉄道防災教育の先駆地であるというプレゼンスを高めると共に、鉄道防災教育の実践的な研究及び教育への展開を目指していきたいと考えています。