【活動報告】声が伝える“防災”と“ぬくもり” 防災絵本 『川がパンクしちゃった!』を新宮市・那智勝浦町へ寄贈しました。
公開日 2025年06月24日
2025年6月11日、和歌山大学災害科学・レジリエンス共創センター客員教授・後誠介氏(那智勝浦町在住)が企画を手がけた防災絵本『川がパンクしちゃった! もりのがっこう と どうぶつたち』(はる書房刊)が、新宮市、那智勝浦町の読み聞かせ団体、図書館、幼稚園、小中学校に寄贈されました。
(新宮市立図書館にて) (那智勝浦町立図書館にて)
本作は、2011年の紀伊半島大水害の教訓をもとに、急激に進行する水害のしくみや避難の大切さを、子どもにもわかる物語で伝えることを目的とした絵本です。
■ 現地の声から生まれた「子どもに届く防災教育」
後教授は、被災地での災害調査や防災教育に携わる中で、「災害は“あっという間”に起こる」ことをどう子どもに伝えるかを模索してきました。2022年、新宮市立幼稚園で行った防災授業で、園児たちのまなざしの真剣さに触れ、「子どもにも心に届く方法を」と、絵本という媒体での発信を決意しました。
物語には、河川氾濫のプロセスや避難の判断が科学的根拠に基づいて描かれており、専門性とわかりやすさを両立しています。人間は登場せず、動物たちを主人公としたことで、災害のつらさを誰でも自然に受け止められるよう工夫されています。
■ 声で届けるぬくもりと安心――絵本の“防災力”は音にもある
この絵本の本質的な魅力は、「声にして読むことで、親や地域の大人の思いが子どもに伝わる」点にもあります
子どもが聞く親の声、先生や地域の読み聞かせボランティアの声は、“あなたは大切にされている”という非言語のメッセージでもあります。
防災を「怖いこと」として終わらせず、「守ってもらえる、共に乗り越えられる」という安心感を絵本から感じ取ることで、子どもたちは自分と地域への愛着や信頼感を育んでいく――本書はそのような“心の防災教育”の役割も担っています。
読み聞かせ団体による読み聞かせ
(那智勝浦町 下里こども園にて)
■ 地域との連携と今後の活用
寄贈式は新宮市立図書館および那智勝浦町立図書館にて行われ、地域の読み聞かせ団体と教育関係者が集まり、絵本の活用や子どもたちへの伝え方について意見交換が行われました。
• 新宮市:読み聞かせ団体(3団体)、図書館、市立丹鶴幼稚園、市立小中学校 に計15冊
• 那智勝浦町:読み聞かせ団体(6団体)、図書館、町立小中学校 に計17冊
当センターでは今後も、防災科学の成果を地域と子どもたちに還元し、「命を守る力」と「心の安心」を育てる教材づくりと連携活動を続けてまいります。
■ 絵本情報
• 書名:『川がパンクしちゃった! もりのがっこう と どうぶつたち』
• 企画:後誠介(和歌山大学客員教授)
• 文:黒川なお(ライター/新宮市出身)
• 絵:吉田葉子(イラストレーター)
• 発行:はる書房(2025年6月刊)
• ISBN978-4-89984-229-3
• 判型・頁数:A4変形・カラー33ページ/税込1,870円
• 販売:全国の書店、ウェブ書店で発売中
■ メディア掲載
• 当日取材
*T V 局・・NHK和歌山、テレビ和歌山、ZTV新宮通信局
*中央紙・・読新聞、朝日新聞、中日新聞、共同通信(配信)
*地方紙・・熊野新聞、紀南新聞、紀伊民報
• 別途取材
*中央紙・・毎日新聞・産経新聞
*地方紙・・吉野熊野新聞、南紀新報
*地域情報誌・・タウンニュース社(神奈川県全域と東京都多摩地域)
• 今後の取材・収録予定
*T V 局 ・・JCOM
*ラジオ局 ・・MBSラジオ
*地域情報誌・・和歌山リビング新聞社