【開催報告】地域課題を乗り越える!公開講座「災害とともに暮らす知恵を紀南から」盛況裏に終了
公開日 2025年11月25日
災害とともに暮らす知恵を紀南から ―どこに、どのように住むべきか? 災害のあと、人と地域がどうつながり直すか―
・日時会場 2025年10月13日(月祝) 和歌山県立情報交流センター Big・U
・参加者 総勢73名(地元住民、防災関係者、自治体職員、学生など64名)
1. 開催概要:成功を数値が裏付け
- アンケート評価 平均4.27、主要コンテンツ・情報保障の中央値5.00(満点)を記録。

本公開講座は、地域に根ざした防災・減災の専門家と参加者が対話する場として開催され、定量評価が示す通り「大成功」を収めました。
2. プログラムの主な成果:学術的知見と地域課題の融合
(1)南海トラフと備えの視点(此松教授)
- 臨時情報の意義や巨大地震への向き合い方を解説。「最悪を想定しつつ諦めずに備える」ことの重要性を示唆。
- 旧耐震家屋の耐震化が喫緊の地域課題であることを共有しました。
(2)豪雨災害と地質の視点(後客員教授)
- 紀伊半島豪雨災害の特徴と、大規模崩壊地の傾向が「地質の成り立ち」と深く関連しているという新しい視点を提示。
- 土砂災害への警戒と情報のアンバランスを指摘し、土壌雨量指数の合理的活用を通じた科学的な避難判断の重要性を強調しました。
(3)事前復興と街づくりの視点(平田准教授)
- 災害後の土地利用規制や、田辺市新庄地区の「事前復興計画」を具体的に紹介。
- 地域文化を通じたリスクとの共存(新庄祇園祭)など、住民が主観的に「住み続ける意味」を判断することの重要性を提起しました。
3. クロストーク:「熱意」が議論を加速させた瞬間
「田辺白浜沿岸部のリスクを語り合う」をテーマにしつつクロストークでは、参加者の切実な課題意識が議論を加速させました。

- 意識の高さの証明:専門的な質問が続き、夜間防災訓練に関する具体的なアドバイスが求められ、講師と参加者を巻き込んだ白熱した意見交換が行われました。
- 共有された知恵:訓練への参加率向上のため「楽しさ」(バーベキュー、肝試し)の導入や、女性・若者や学校を運営に巻き込む具体的なアイデアが共有されました。
- 運営面での挑戦:リアルタイム文字起こし(AI活用)や手話通訳を導入し、多様な情報共有に挑戦しました。
4. 参加者の行動変容と今後のセンターへの期待
アンケートでは、自主防災組織の確認、津波避難タワーを活用した研修計画など、具体的な行動変容が確認されました。
- 継続的な地域連携の要望:防災サロン活動への大学の監修(紀南)、学生・教員派遣による地域指導(中紀)、少子高齢化を見据えたリーダー育成(県外)など、強い期待が寄せられました。
和歌山大学災害科学・レジリエンス共創センターは、今回の講座を通じて結ばれた「知恵や見方」を持った参加者の方々が核となり、地域活動をさらに広げていけるよう、今後もリソースを提供し、地域の活動を支援してまいります。

