企画展示コーナー「西岡虎之助、和歌山の日々―研究と教育の葛藤―」
公開日 2009年06月17日
<西岡虎之助、和歌山の日々 ―研究と教育の葛藤―>
かつらぎ町教良寺出身の歴史学者・西岡虎之助(1895~1970年)は、皇室賛美の非科学的な歴史研究がまかり通っていたアジア太平洋戦争期の東京帝国大学において、民衆史・社会史の実証研究を貫いた信念の人であった。そのぶれない歴史叙述は、敗戦後の混乱した歴史学界・教育学界において、民主的で科学的な歴史教育の先駆けとして、今日の教科書叙述の礎となっている。日本における近代歴史学・歴史教育の命運を左右したといって過言ではない西岡虎之助――、和歌山の山村に生まれ、和歌山県師範学校に学んで一度は小学校教員の道を選んだ西岡は、いかなる経路で民衆史研究の祖として中央学界での地歩を固めたのか。
2008年春、処女論文「太田城水攻について」の掲載誌が発見され、これまでまったく知られていなかった師範学校時代の西岡の原点が明らかになった。その眼差しは、雑賀惣国一揆の敗北に注がれていた。師範学校の教授の実態、赴任地における郷土教育運動の息吹き、学問への絶ち難い思いと教師の日常の葛藤……いまあらためて西岡を取り巻く和歌山の日々と環境に光をあてよう。戦時下の弾圧のさなかで西岡が守り続けた歴史の真実と生きざまを、故郷の後輩として正しく継承していきたい。
期 間 平成21年6月16日(火)~平成21年8月28日(金)
10:30~16:00
休館日 土・日・祝 および附属図書館が閉館している日
※ 事前にご連絡いただければ、簡単な展示解説をいたします(金曜を除く)。
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事務局 広報室 PRism