【山本健慈学長より】学校教育法及び国立大学法人法の一部改正に基づく学内諸規則の改定にあたって

公開日 2015年03月30日

学校教育法及び国立大学法人法の一部改正に基づく学内諸規則の改定にあたって

 

 和歌山大学は、2015年3月16日の経営協議会および3月19日の教育研究評議会において、2015年4月1日から施行される「学校教育法及び国立大学法人法の一部改正」に伴う学内の諸規則の改定を審議し、同日役員会で、施行を決定した。
 この決定に至る経過および今後の大学の運営に関わって所感を述べておきたい。
 
 今回の法改正は、教育再生実行会議第三次提言「これからの大学教育等の在り方について」 (2013年 5 月 28 日)において提起され、その後中央教育審議会大学分科会組織運営部会での「大学のガバナンス改革の推進について (審議まとめ)」(2013年12月24日)の公表、2014年2月の中央教育審議会大学分科会「大学のガバナンス改革の推進について(審議まとめ)」を経て、2014年6月法改正に至ったものである。

 本学においては、2013年12月の「審議まとめ」で提示された論点に沿って2014年1月の役員会、経営協議会、学長・監事協議会において本学のガバナンスの現状についての意見交換を行い、その後の諸会議でも検証を積み重ねた。更には、監事にも、独自の検証を依頼した。
 この作業の結果、本学においては、教育再生会議および中央教育審議会等で課題とされている論点は基本的にクリアされているという結論に至った。
 これを受けて、私は学長として、国立大学協会の総会、支部会議および文部科学省幹部との意見交換の場において、またある時には、中央教育審議会等での改革推進論者の方にも、本学の実情を踏まえ高等教育政策上の主要な課題は、ガバナンスに関わる法改正ではないと伝えてきた。併せて、本学監事による検証結果も文部科学省に対して示している。
 これらの意見交換での私の受け止め方で言えば、本学のガバナンスのあり方や本学自身の評価に関しては同意されつつ、規模の大きい大学においてガバナンスに苦慮されていたことは印象的である。 
 
 さて本学は、第2期中期目標前文において、ガバナンスに関わって、以下のように記述している。

 教員の多様な問題関心に基づく諸活動を尊重し、職員の主体的な職務遂行を支え、学生が高度な理論と実践力を修得できるよう支援を強化するとともに、教員・職員・学生相互の信頼関係のもとでの協働と参画を通じて、「自主・自律・共生の気風にあふれる大学」であることを目指す。

 この基本方針に基づき、本学では月例の学長・役員・学部長懇談会、学長・役員・事務系幹部懇談会および諸委員会において多様な案件を学習、協議し、教育研究評議会での審議を行ってきた。これらの過程で、学部教授会等の審議が反映されていることは言うまでもない。全学的課題については、大学全体で考え、取り組んでいきたいという思いのもと、全学教職員集会、全学教員集会を開催し、意見交換の機会をもってきた。
 また、自らの組織を自ら研究し組織革新を図る(2011-13 2013-15行動宣言)ため、「和歌山大学教育研究集会」に取り組み、教育学生支援においては、学生も参加する「夢活フォーラム」、地域創造に関わっては、地域住民、企業・自治体関係者も参加する「地域創造シンポジウム」などを積み重ねてきた。
 以上の運営は、教職員・学生の参加と協働による大学の自治的運営および学外の社会の要請・変化と大学の自治的運営の結合という、大学ガバナンスに関わる創造的挑戦を意図したものであった。
 私の実感で言えば、私のリーダーシップの根源となる多くの構想や改革は、これら学内外の方々との意見交換のなかで生まれ、育まれてきたものだと確信している。あえて付け加えて言うならば、教授会等の学内の議論によって私のリーダーシップや実際の改革が阻害された経験は皆無である。

 以上が、私が学長として本学を運営してきた経験の概略である。

 今般、本学も法改正に対応した文部科学省の詳細な方針に沿って、学内諸規則の改定のやむなきに至ったが、本学がこれまで培ってきた協働・参画の経験をもってすれば、法改正のもとにあっても、広く社会に信頼され、認められる大学コミュニティとその運営の在り方を創造していくことができると信じてやまない。

 最後に、4月1日の施行とともに学長に就任される瀧新学長をはじめ、教職員及び大学関係者の皆さまへ、和歌山大学の将来にわたる持続的な発展を託したい。

  2015年3月吉日

 
和歌山大学長
                    山本健慈
 

 

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