国際交流基金関西国際センターの外国人研修生(主に日本語を学びにきているODA対象国の外交官と行政官)と本学大学院生・学部生を対象にAgribusinessの模擬講座を開講いたしました。英語と日本語の両方を使用する3回の講義に加え、実際の農業経営の現場を体験する1泊2日の合宿コースを実施しました。
実施内容
2014年2月14日(金)@国際交流基金関西国際センター
講師:河村 能夫先生(京都府立農業大学校校長、龍谷大学名誉教授)
和歌山大学アグリビジネス推進室長の足立基浩教授より、今回実施される本事業の目的と概要について、受講生に向けてお話がありました。
続いて、第一回目の特別講義の講師である河村能夫先生より日本と世界を取り巻く農業経営の概要について、お話いただきました。海外での経験が豊富な河村先生ならではの事例を流暢な英語と日本語でご説明いただき、受講生からも活発な質問・意見が寄せられました。とくに、和歌山県内で農業の6次産業化を実践されている社会人受講生からの意見には、他の外国人受講者も刺激を受けているようでした。
受講した女性外交官は、“Very nice lecture.”と何度も河村先生へ声をかけるなど、教室の外は大雪に見舞われましたが、教室内は最後まで白熱したものとなりました。
2014年2月22日(土)@岸和田市立浪切ホール
講師:佐藤 直樹先生(和歌山大学非常勤講師)
和歌山大学岸和田サテライトのある岸和田市立浪切ホールの研修室にて第二回目の特別講義が開かれました。当日の講師は、民間企業でのご経験が豊富な佐藤直樹先生です。先生のご専門であるManagement of Technology(技術経営)の観点から効率的な農業経営についてお話いただきました。当日は、3グループに分かれ、グループワークの時間が設けられました。足立基浩先生(和歌山大学経済学部教授)にも加わっていただき、和やかな雰囲気のなか第二回目の講義が終了しました。
2014年3月1日(土)@岸和田市立浪切ホール
講師:クパニ ルンビディ先生(和歌山大学経済学部教授)
特別講義の第三回目は、和歌山大学経済学部教授のクパニルンビディ先生に農産物の流通の仕組みと重要性についてお話いただきました。クパニ先生の対話調の講義に教室全体が一体となっていました。講義後半のグループディスカッションではグループごとに話し合われた内容について各々のグループ代表が発表しました。
2014年3月8日(土)~9日(日)@秋津野ガルテン
講師:橋本 卓爾先生(和歌山大学名誉教授)、
足立 基浩先生(和歌山大学経済学部教授)、
農業法人株式会社秋津野の関係者の皆さま
合宿コースは和歌山県田辺市にある都市と農村の交流施設「秋津野ガルテン」にて1泊2日の日程で実施されました。農業経営の現場に入って、自らそこにある課題に向き合い、解決策を導き出すことを目的としたものです。
1日目は、和歌山大学からバスに乗り、田辺市まで向かいました。車内でランチをとりながら、和気あいあいと話も盛り上がり、あっという間に現地へ到着。
まずは、簡単なオリエンテーションを終え、早速1つ目の講義が始まりました。農業コミュニティビジネスの意義と役割について、橋本卓爾先生から約1時間ほどお話いただきました。
小休憩を挟んで、株式会社秋津野の社員の方から、“アグリビジネスでの起業をするとしたら”というタイトルで、秋津野ガルテンの会社の成り立ちや会社の取り組みなどをお話いただきました。後半10分は、ビジネスプランの起業企画案について、グループごとに話し合うように指示がなされました。
その後、外が暗くなる前にみかん農家の見学へ。実際にみかん畑を見学させていただき、ビジネスプランの起業企画案への下準備を行いました。
18時からは秋津野ガルテンの教室にて、現地の食材を使った料理がふるまわれ、各々に会話を楽しまれていました。
夕食後の交流会では、みかん農家でいただいた多品種のみかんをいただきなから、受講者から初日の感想などについて発表されました。
交流会終了後は、各自、明日の発表準備にむけて、各々の部屋で議論は続きました。
2日目は、朝からビジネスプランのまとめとして、グループごとに模造紙へ最終案をまとめました。その後、ビジネスプランの審査会へ。審査員は橋本先生と足立先生に加え、株式会社秋津野の関係者の皆さまと、みかん農家の方にお願いしました。
各々の発表を終え、足立先生より、各チームのプレゼンテーションの順位発表と記念品が授与されました。
続いて、閉会式では、今回お世話になった株式会社秋津野の関係者の方より、今回の和歌山大学Agribusiness合宿全体についての感想などを述べていただきました。
秋津野ガルテンをバスで出発し、帰路の途中では、農産物直売所やその隣にある農産物の加工場を見学させていただきました。
今回は本学の日本人学生に加え、中国人留学生や社会人学生、そして、ハイチの行政官など多様なバックグラウンドの受講生にお集まりいただきました。本州最南端でもある和歌山県でのアグリビジネス教育が、今後、全世界へ広がっていくことを願っております。
和歌山大学Agribusiness推進室一同