終了【9/21(水)】第85回わだい浪切サロン「生ごみや下水汚泥からのエネルギー回収を考える」
公開日 2016年08月08日
日時 : 2016年9月21日(水) 午後7時~8時半
話題提供 : 吉田 登 (和歌山大学システム工学部教授)
場所 : 岸和田市立浪切ホール 1階 多目的ホール
生ごみや下水汚泥、これらは私たちの身近な生活から発生する廃棄物ですが、もともとは生物由来の有機物からできている自然の恵みであり、人間社会から安定的に生み出される貴重な資源とも言えます。明治以降、都市を疫病や環境汚染から守るために整備されたごみ処理場や下水処理場が、時代とともにその役割を変え、現在は、化石燃料に代替する、自然由来の再生可能なエネルギーを回収する都市施設へと生まれ変わりつつあります。乾式メタン発酵技術や固定価格買取制度のようにこのような取り組みを後押しする新しい動きもある一方で、技術的な課題や社会的な問題も抱えています。
災害や地球温暖化などの社会状況の変化を背景に、本年1月に廃棄物処理法の推進を図る基本方針が大きく見直されたことを契機に、皆さんとともに、身近なごみからのエネルギー回収について考えてみたいと思います。
※参加無料・申込不要
(1.6MB)10月以降の予定はチラシ裏面をご覧ください。
開催レポート
参加者55名
(概要)
平成25年のデータでは、国内の食材仕向量は年間8,339万トン。これらは消費されて最終的には下水汚泥、し尿汚泥、生ごみという廃棄物バイオマスとなりますが、その量はあわせて2,231万トン。食材投入の約4分の1の量になります。
近年のごみの減量(Reduce)、再利用(Reuse)、再生利用(Recycle)の意識の高まりにともなって、ここ岸和田市でも、ごみの排出量は、平成16年~26年の10年間に22%の減量となっています。
現在では、引き続きのごみの減量(発生抑制)と「再利用」にあわせて、廃棄物からの「熱回収」=「エネルギー回収」が重要な課題となっています。
特に、下水汚泥のもつエネルギー的な価値が注目されています。事例として、下水道処理場内でのエネルギー回収(省エネ・創エネ)と、処理場外と連携したエネルギー回収(燃料化・混燃)の事例が紹介されました。
特に後者では、ごみ焼却過程で発生する蒸気を下水汚泥の乾燥施設で活用することや、その乾燥汚泥をごみ焼却場で一般ごみと混合焼却する試みが進められているそうです。
今後は、環境インフラ間の連携・省庁間の連携によって、廃棄物からのエネルギー回収を一層推進していくことが必要です。
-参加者アンケートより-
・ごみは捨てるものと考えていましたが、ゴミとどうつきあうかという考え方が必要だと思いました。(30代・女性)
・下水処理やごみ処理において、ここまでエネルギー回収が進んでいるとは大変驚いた。こういった取り組みは大規模自治体では先進的な事例が多いが、小規模自治体ではスケールメリットが生かせないので、自治体同士の連携にも注目していきたい。(30代・男性)
・生ごみと下水汚泥のエネルギー回収技術の発達によって、石炭、石油、天然ガス等の化石燃料の消費量を抑えることができれば、大変良いことだと期待しています。(50代・男性)