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H I S T O R Y

経済学部学生会館として

松下会館は、1961(昭和36)年、松下電器産業(現・パナソニック)の創業者で和歌山市出身の松下幸之助氏の寄付で、当時の和歌山大学経済学部構内に建設されました。

同館の建設目的は「学内の人間関係を緊密にすること」「学生の自治活動を盛んにすること」などと、「和歌山大学松下会館規程」第一条で記されていました。

竣工当時は、建物の1階には玄関ホール、売店、食堂、大集会室、小集会室、保健室、学生相談室など、2階には講堂、「画廊」と位置付けられた講堂のホワイエ、録音室(映写室)、和室、音楽練習室、クラブ連絡室などが配置され、建設目的のとおり学生たちでにぎわっていたと言われています。

現在、内装は変更され改修されていますが、建物の骨格や外観、2階の講堂(一部)などについては、竣工当時の姿をとどめています。

竣工当時の松下会館外観
竣工当時の松下会館外観
学生でにぎわった食堂と談話室
学生でにぎわった食堂と談話室
松下幸之助氏

1894(明治27)年11月、和歌山県名草郡和佐村千旦ノ木(現在の和歌山市禰宜)に生まれました。
1918(大正7)年3月に松下電気器具製作所を創設し、家庭用電気器具の製造・販売をスタート。徐々に事業を拡大し、1935(昭和10)年12月には「松下電器産業株式会社」を設立、取締役社長に就任しました。電球の製造に着手するほか、新しい家庭電化製品を世の中に送り出し、家庭電器及び無線電機の普及に努めました。

松下幸之助氏は、寄付で県下にさまざまな施設を建設しています。
1961(昭和36)年に松下会館、1970(昭和45)年に松下体育館、1971(昭和46)年に松下公園、1974(昭和49年)年には和歌山城紅葉渓庭園茶室「紅松庵」、1977(昭和52年)年には県立紀伊風土記の丘「松下資料館」をそれぞれ寄贈しています。
1961年に和歌山市名誉市民、1962年には和歌山県経済顧問に就任、1979年には和歌山県名誉県民となっています。

優れた事業家であるだけでなく、教育、文化、体育、社会福祉等あらゆる方面の発展向上に尽力され、和歌山県に対しても、長くさまざまな形で貢献されています。

生涯学習教育研究センターとして

1987(昭和62)年に経済学部が栄谷キャンパスに移転して以降、空き館となっていた松下会館ですが、1998(平成10)年、和歌山大学生涯学習教育研究センター(現在の紀伊半島価値共創基幹 生涯学習・リカレント教育推進室)として再出発しました。

地域には無数の課題が存在します。その課題を鋭敏なセンサーで把握し、学内外の人的・物的資源を駆使して、「地域知」と「専門知」を融合させ、地域と大学が共に育つ環境を作ることが重要です。
全国の国立大学で17番目の生涯学習系センターとして設置された本センターでは、出来合いの研究成果を一方的に提供するのではなく、自治体・教育委員会と連携した生涯学習計画づくりに作成プロセスから参画したり、地域のNPO・住民等からの企画提案を受け、連携した生涯学習事業を展開したりと、共創型の生涯学習事業の開発を進めてきました。

市民向けの独自の取り組みとしては1999(平成11)年から約15年にわたり「土曜講座」を開講してきました。
この講座は時流を得たテーマをもって世の中を多角的に考えるものでした。講座からは「地域生涯学習事業開発プロジェクト」等も生まれ、単なる市民向け学習講座提供とは異なり、研究への展開を志向した事業として発展しました。また、専門職としての「社会教育主事」を育成する講座も2000(平成12)年から実施しています。

2010(平成22)年7月、全学の地域連携機能を包括する形で「地域創造支援機構 地域連携・生涯学習センター」に改組されます。これまで生涯学習を広義に捉え展開してきた活動を、地域連携と生涯学習に分け、その両者を併記することでセンターの役割を鮮鋭化させ、名実ともに地域連携を志向した組織の拠点として「松下会館」が活用されてきました。

2017(平成29)年3月、地域連携・生涯学習機能を本学に一元化するため、拠点を松下会館から栄谷キャンパスへ移しました。そのため、松下会館は再び和歌山大学関係者不在の時を過ごすことになります。

一方でセンターは、2017年(平成29)年4月1日から「クロスカル教育機構 生涯学習部門」に、2018(平成30)年には「地域活性化総合センター生涯学習・リカレント教育推進室」に再改組。さらに2020(令和2)年4月には、従来の地域イノベーション機構・地域活性化総合センターの体制を一新し「紀伊半島価値共創基幹」が発足。当該基幹内に「生涯学習・リカレント教育推進室」が設置され現在に至ります。

新しい学びの拠点として

2017(平成29)年の地域連携・生涯学習センター移転以降、和歌山大学関係者不在の時を過ごしていた松下会館ですが、2019(令和元)年、和歌山大学創立70周年記念事業の一環で、松下会館再生事業がスタートしました。

松下会館再生事業に対し、多くの皆さまからご支援を賜ったことにより、2023(令和5)年2月、「地域と共創する大学」を具現化するシンボルとして生まれ変わり、生涯学習及び社会人の学び直し(リカレント教育)活動を核に、教育研究活動の促進、起業家教育活動のほか、社会との連携・交流機能等を発揮していきます。

2023年2月5日にリニューアルオープンした松下会館1階エントランス
2023年2月5日にリニューアルオープンした松下会館1階エントランス

今回のリニューアルで、1階には、新しく展示コーナーと気軽なコミュニケーションの場として利用できるリフレッシュコーナーを設置。展示コーナーでは、松下会館建設の経緯や会館の特徴を説明したパネル、開館時に発行した和歌山大学学報特輯をパネル化したものを展示しています。

2階は、大ホール(講堂)の一部をセミナールームに、フレキシブルな学習・研究スペースの提供を可能にしたミーティングルーム、さらにオンライン配信や編集可能なアクティブラーニングスタジオを配置しました。
また、教員や企業関係者との産学連携事業の打ち合わせや交流が可能なスペースとしてイノベーションコモンズを配置するなど、松下幸之助氏の考え方である「人材育成」を最大限化した施設となっています。

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