wu International Alumni’s Voice 和歌山大学 留学生の体験記

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Vol.1

留学も仕事も、最初の一歩を乗り越えたら、次はきっと大丈夫。

KIEU LUONG GIA HOA キュウ ルオン ジャ ホア

ベトナム|交換留学生

2016年4月〜2017年4月在籍

2016年にホーチミン市師範大学から交換留学生として和歌山大学へ。現在はホーチミンで通訳者として活躍するホアさんにインタビューしました。

留学前

2013年ホーチミン市師範大学日本語学部に入学したホアさん。大学に進学する際、どうして日本語学部を選んだのでしょうか。

わたしは文学が大好きなんですが、(わたしの)国では、文学を専攻したら将来仕事を探しにくいと思い、言語を学ぶことにしました。ちょうど高校生の時に東北の地震(東日本大震災)がありました。食料危機になってもたくさんの人が長い行列に並んで待っているのをテレビで見て、「日本人は素晴らしいな、性格がいいんだな」と感動したんです。それで日本語を選びました。

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高校では日本語を学んだことがなかったといいます。大学に入った当初はどんな感じでしたか。

わたしは田舎からホーチミン市に出てきて、大学に入って「あいうえお」から勉強をスタートしました。ホーチミン市とか大都市から進学してきたみんなは、高校で日本語を勉強していてペラペラ先生と話せていたんですよ。だから、少し恥ずかしいような気持ちもありました。

ベトナムでは日本人と会話をする機会がそう多くなかったそうですが、積極的に日本人学生との交流会に参加するなどして、日本語能力試験(JLPT)N3を取得。

N3を取得したけれど、会話のスキルはあまりなかったので、もっと会話チャンスを作りたいと思っていました。

3年生の時、ホーチミン市師範大学と協定のある和歌山大学への交換留学を決意したそうです。

実は和歌山大学を選んだ理由は簡単で、和歌山の『和』の読み方は「ホア」。わたしの名前と同じなんですよ。これからは日本語をたくさん話すことができる!と楽しみにしていましたが、自分の日本語が日本人に通じるのか、文化、生活、習慣の違いなど不安な気持ちもありました。でも(和歌山大学に留学した)先輩もたくさんいるので、わたしもきっとできると思いました。

留学中

日本の四季を体験できることを楽しみにしながら、3月下旬に渡日したホアさん。

その時日本の気温は10℃〜15℃くらいで、日本の人には涼しいと感じるくらいだと思いますが、わたしにはとても寒かったんです。すぐに風邪をひいてしまいました。

和歌山の印象は?

静かで緑が多い町です。留学が決まった時、和歌山に行ったらぜひ和歌山ラーメンを食べてと言われていました。今は自分にとって、とても懐かしい味ですね。

1年間和歌山大学に留学できることになって、わたしはできる限り全部のイベントに参加しようと思っていました。

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地域のイベントに積極的に参加しました
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和歌山大学で開催された「留学生による日本語スピーチコンテスト」に出場

とりわけ思い出に残っているのは和歌山市で毎月5月に開催される「和歌祭」に、お神輿パートで参加したことなのだそう。神輿を担いで108段の石段を駆け降りる「神輿おろし」は、和歌祭のハイライトです。

和歌祭はとても大きなお祭りです。実は、自分のやりたかったパートが満員で、お神輿で参加することになりました。お神輿の重さは1トン。みんな手伝ってくれて、大変だったけど楽しかった。

ホアさんは中国、韓国、台湾、オーストリア、インドネシアなど、様々な国からの留学生とともに学び、交流を深めました。

留学生同士、ほとんど日本語でコミュニケーションをとっていました。日本で暮らして半年くらい経ってようやく、だんだんみんなと円滑に会話ができるようになってきました。

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研修旅行

そんなホアさんが留学で得たものは「たくさんの友達や先生との出会い」だといいます。

日本に行く前はもちろん、とにかく日本語を上達できるよう頑張ろうと考えていました。でも実際に留学で得られたものはそれだけではありません。魅力ある友達に出会えることや、自分の文化をみんなに紹介できるし、みんなからももらいます。今も、あの時はとても"きれい"な時間だったなと思います。

それぞれ国に帰って仕事をしていますが、今も連絡を取り合っているといいます。そして忘れられない出会いは学外にも。地域ボランティアの先生と何回も交流しているうちに、家に行ってごはんを食べたり、いつの間にか先生のご家族とも交流するようになったそうです。

私の誕生日にもケーキを一緒に作って食べました。今も誕生日になると毎年連絡が来て、「お兄ちゃんが結婚した」とか知らせてくれるんです。また会いたいですね。

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現在

そんなホアさんは、現在ベトナム・ホーチミン市にある人材派遣会社「NHHK International JSC」で日本語通訳者として働いています。

和歌山から帰国してすぐ、先生に紹介してもらって、はじめはアルバイトとしてこの会社で働き始めました。卒業してから正社員になって、それからはずっとここで働いています。

通訳だけでなく、契約書や資料の翻訳、人事関係など、業務は多岐にわたります。日本のクライアントと遠方の工場や畑への視察に行ったり、実習生に日本語を教えることもあるといいます。

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楽しいのは、日本のお客さんを接客したり通訳するときです。通訳チームは6人。先輩は日本語レベルも高く、経験もあります。日本にも大阪と岡山にオフィスがあります。コロナの前はわたしも日本に行っていたんですよ。

仕事柄、ベトナムに来た外国人が手続きに苦労する場面によく遭遇するそうで、最近は、英語の勉強を始めたというホアさん。

今、ベトナムでは日本語ができれば仕事がありますが、わたしは、日本語だけでなく、もうちょっとできるかチャレンジしたいと思っています。今年はすごく勉強しようという気持ちを持っていて。

例えばベトナムの入国管理局などで、ヨーロッパの人をよく見かけます。外国人がベトナムで手続きをするのは本当に難しいことです。でもわたしは英語があまり話せないので、手伝うことができません。そんな時、辛いと感じます。もし日本人が困っていたらすぐに助けることができるのですが。

留学時も現在も積極的にスキルを磨き続けているホアさん。

初めて留学するときや初めて仕事をするとき、誰でも難しいと感じるでしょう。日本語の勉強に限らずどんなことでも、最初はとても難しい。でも、もし1回できれば、次はもう何も難しくありませんよ。

チャレンジ精神と成功体験の積み重ねがホアさんを大きく成長させてくれたのですね。これから留学する人にメッセージを。

留学は旅行ではないのです。楽しいことだけでなく、想像と違うこともあると思います。でも留学した最初の目的を忘れなかったら、なんでも乗り越えられます。自信を持って将来へ!

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