wu International Alumni’s Voice 和歌山大学 留学生の体験記

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Vol.2

留学は学業だけでなく、人生経験のひとつ。最大限に楽しんで。

Ahmad Syakir Bin Azmi アーマド シャキル ビン アズミ

マレーシア|正規留学生

2008年4月~2014年3月在籍

シャキルさんはシステム工学研究科を卒業し、現在は工学の知識と日本語のスキルを活かして、特許に関わる翻訳エキスパートとして働いています。

留学前

マレーシアから日本の大学に進学するという道を選んだシャキルさん。そのきっかけは、中学校の日本語の授業だったそうです。

中学1年の時、第2外国語として日本語を選びました。その時の日本語の先生が、日本に留学していた時の話をたくさんしてくれたので、その頃から卒業したら日本の大学に行きたいと思っていました。

シャキルさんは5年間の中学課程を終了後、クアラルンプールにあるマラヤ大学の予備教育機関AAJに。日本の大学への進学を目指し、政府奨学生として2年間日本語を学びました。

マラヤ大学で、ほとんどの学生はゼロから日本語を学びます。今思えばすごい時期でしたね。2年間で日本の高校生レベルの日本語と、科目の知識を身につけなければならないですから。中学校5年間に学んだ日本語の内容は、大学では3か月で終わりました。わたしは中学4年生から工学を専攻していましたが、数学、物理、化学などの科目をもう一度日本語で勉強し直しました。

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マラヤ大学で2年間、日本語の予備教育を受けたあと、日本の大学進学へ。どのような経緯で和歌山大学を受験することになったのでしょうか。

和歌山大学を選んだ理由は、「光メカトロニクス学科」という学科の名前に惹かれたからです。他の大学にはないめずらしいネーミングだったので、なんか面白そうだと思って、和歌山大学を第一志望にしました。

留学中

マレーシアで日本留学試験(EJU)を受け、政府派遣留学生として和歌山大学に入学。来日して最初に驚いたのは、「日本の公共交通機関の発達」だそうです。

マレーシアにも長距離を走る電車があるんですけど、市内を走る電車は首都圏だけです。始発と終電の時間しか公表されていませんが、(日本の電車は)時刻が分単位で書かれていて、これはすごいなと思いましたね。
(日本の)接客の丁寧さ、四季の変化と自然の美しさにも驚きました。桜の時期に和歌山城でお花見ができたことは、今でも忘れられません。アニメでしか見たことのなかった光景を実際に体験できたので、感動しました。

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(留学前は)学業や友達作りがうまくできるかという不安と、新しい生活への期待の両方がありました。2008年にマレーシアから和歌山大学に入学したのはわたし一人だけでした。最初は不安でしたが、今思えばそっちの方がよかったです。もし友達がいたらそのグループで過ごしてしまうから、そんなに日本人の友達ができなかったんじゃないかと思うんです。「めずらしい」といろんな人から声を掛けてもらっていましたね。

和歌山での生活の中で、ハラル食について心配や苦労などはありましたか。

日本には魚介類の料理がたくさんあるから、そんなに困ることはないかなと思っていました。大学の食堂では白身魚のフライをほぼ毎日食べていました。あとはハラルミートを友達のマレーシア人と一緒にネットで注文したりもしました。多少不便はあったかもしれませんが、苦労したという記憶はないです。和歌山の果物はどれも本当においしかったです。特に「有田みかん」と「あらかわの桃」は、「いつかまた食べたい」と今も思い続けています。

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和歌山で最もお気に入りの場所は「番所庭園*」と話すシャキルさん。すっかり和歌山県人という感じがします(笑)。*和歌山市雑賀崎にある、万葉ゆかりの景勝地。

番所庭園は3回くらい行きました。マレーシアにも海はありますが、あのような景色はないので。本当にきれいだと思います。是非行ってみてください。
学生だけでなく、いろんな人と交流ができたのは、和歌山だったからだと思います。もし大都会に住んでいたら、地域との関わりもあまり持てなかったと思いますから。今からだと和歌山以外(に住むこと)はもう考えられないですね(笑)。

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現在

シャキルさんは大学を卒業後帰国、マレーシアに工場を持つ日本の会社で機械設計エンジニアとして6年勤務したのち、2021年に現在の会社Clarivateに就職しました。

本社はアメリカで、世界中にオフィスがあります。ペナンにあるマレーシアオフィスには300人が勤務しており、わたしは日本の特許庁が発行する特許公報や、知的財産に関する書類の日英翻訳(機械翻訳ポストエディット)を行うチームのリーダーとして、15人のスタッフと仕事をしています。ほぼ全員が日本留学経験を持つ、翻訳のエキスパートです。

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翻訳する内容は主に特許関係で、多くが新しい技術や薬品など、専門分野に関わるので、日本語だけでなく専門的な知識が必要とされます。工学、技術、化学などスタッフがそれぞれに得意分野を持っています。

日本語だけでなく、シャキルさんが和歌山大学で学んだシステム工学の知識が仕事に役立っているのですね。

機械翻訳の開発部門に日本語のフィードバックをおこなうこともあります。翻訳とデータ分析の仕事に携わりながら人工知能と機械学習についてもっと学び、翻訳業界への更なる応用を探究していきたいです。

留学する後輩たちに伝えたいこと

日本語のスキルを向上させるための努力を、留学前だけでなく留学中も常に行いましょう。情報交換ができる友達を作り、問題や悩み事があるときは一人で抱え込まずに周りの人たちと相談してください。留学は学業だけでなく人生経験のひとつ。日本への留学期間を最大限に使って自分を成長させる貴重な体験として積極的に楽しんでください。

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