2005年度学生の研究活動に関する受賞実績

公開日 2005年04月01日

受賞内容

  • 氏名:豊増 伸治さん
  • 論文名:「光と風と僕たちがはこぶ、田舎のブロードバンド」
  • 賞名等:優秀賞
  • 学会名等:第1回「小柴昌俊科学教育賞」
  • 関連サイト:http://www.hfbs.or.jp/prize_result.htm

概要

私は、和歌山県紀美野町(旧:美里町)にある「みさと天文台」に勤務しながら、和歌山大学システム工学部の社会人ドクターコースの院生をしています。

当時の美里町にはブロードバンド環境が無かったため「NTTもヤフーもやってくれないなら自分たちでヤル!」 とばかりに、長距離無線LAN(約20km)を設置し常時接続を実現することにしました。用地の調査から施工・ネットワークの 調整等をすべて高校生達と行い、中継装置は、町内と20km先の岩出町が見通せる山の尾根に、高校生達とブルドーザで穴を 掘る基礎工事(写真1)から始めて設置したわけです。山の中には電気もないため、新設した太陽光・風力発電が頼りです。 岩出町側のアンテナ(写真2)も自分たちで設置しました。

最後にはこのネットワークを用いて高校生による町内小中学校への遠隔授業も行い、 子供たちから大変喜ばれました。写真3は、美里町内の小学校と中学校をブロードバンドで結んで、 遠隔授業を行っているところです。写真左上には、送信側(中学校側)の腕ぬいぐるみによる演劇の シーンが映っています。以上の様子は、 サイエンス チャンネル | 番組紹介 にビデオファイルで紹介されています。

ネットも施工費も電気も無かったけれど、地域に根ざした具体的な要求をテーマとすることで、 生きた科学教育が実現できました。高校生達と山野を駆けめぐった1年は忘れられない思い出です。 この活動が認められて、ノーベル物理学賞を受賞された小柴昌俊さんが設立された平成基礎科学財団による 小柴昌俊科学教育賞の第1回の優秀賞に選ばれました(写真4)。それについては、 asahi.com: 小柴昌俊科学教育賞に和歌山・みさと天文台豊増さん、 ニュース和歌山-2005年4月27日1面 を御覧ください。 また、平成基礎科学財団と小柴昌俊科学教育賞については、 Heisei Foundation for Basic Science も御覧ください。

写真1:活動の舞台は山の中

写真1:活動の舞台は山の中

写真2:岩出側アンテナ

写真2:岩出側アンテナ

写真3:遠隔授業のひとこま(小学生側)

写真3:遠隔授業のひとこま(小学生側)

写真4:廟彰式にて小柴さんと

写真4:廟彰式にて小柴さんと