終了【6/21(水)】第93回わだい浪切サロン「場所と住まい~紀の国住宅プロジェクトで考えていること~」
公開日 2017年05月17日
日 時 : 2017年6月21日(水)19:00~20:30
場 所 : 岸和田市立浪切ホール 1階 多目的ホール
話題提供 : 髙砂 正弘(システム工学部 教授)
参加無料・申込不要
「家を建てる」VS.「家を買う」
いつから、家は建てるものから、買うものになったのでしょうか。おそらく、ハウスメーカーが土地と家とのセット販売をはじめてからでしょう。
そのハウスメーカーのひとつ、和歌山にある紀の国住宅と、場所のことを考えた家づくりをはじめました。環境や敷地を読み取ってつくる、本来の家づくりです。地域の材料を使い、古くから受け継がれた仕掛けを見直し、住まいをつくろうとしています。
この機会に、これからの住まいについて、皆さんと考えたいと思っています。
開催レポート
参加34名
【概要】
最近の住宅団地に建てられている家をみていると、ほとんどがハウスメーカーの建てた家であり、「家は建てるもの」から、「家は買うもの」に変わってきているように感じられます。そのなかで、場所と住まいについて考えていることや、ハウスメーカーである紀の国住宅との取り組みについて、スライドを観ながら、システム工学部の髙砂先生がお話しくださいました。
元々、家づくりは、間取りや、材料、費用を工務店や設計士に依頼し、「家は買うもの」ではなく、「家は建てるもの」でした。しかし、現在の大多数の家では、これまでの日本の家でみられた伝統的な特徴(三和土(土間)、畳、屋根瓦、深い軒先、縁側、格子戸など)が失われているようです。
例えば、三和土(土間)は、夏は涼しいが冬は寒いという特徴がありますが、伝統的な特徴の良いところは使って活かしながら、使い勝手の悪いところは直していくことで、住みやすい家をつくることを考えているそうです。
日本の家はほとんどが木で建てられています。その木材を活かし取り組んだ静岡県の天竜杉と焼杉を使った住宅を紹介してくださいました。
杉を焼き塗装し、外壁に使うことで、木材そのものが塗装の役目を十分果たしてくれ、モダンな雰囲気を醸し出してくれます。また、現代の家では普通にある雨樋を付けずに、ひさしを深くとることで、雨が降ったときに、ひさしをつたう簾のような雨を眺めることができ、家の中にいても、自然環境を楽しむことができるようになります。
日本の平均的な天候を年間でみると、晴れ:曇り:雨は、6:3:1の割合ですが、その1割である雨の日を楽しむ気持ちでいられるようにとの工夫が施されているそうです。
今回の紀の国住宅とのプロジェクトは、今ある家(紀の国住宅が建てた家:和洋折衷型)を、和歌山の個性をもったモダンな家にするというものです。
・和歌山には木材が豊富にあるので、木を使う。
・土間には、木のテーブルや薪ストーブを置き、離れの部屋は和室にすることで、多目的な用途に使うことができるようにし、仕切りには障子や格子を、外壁は焼杉を使用します。
・伝統的な良さを見直しながら、場所や環境、敷地のことを考えて造ります。
・巾木を使用しないことで壁と床の境界がなく、すっきりします。
・天井と床の板方向をクロスしないようにすることで、部屋の奥まできれいに見通せる姿勢をつくることができます。
こうした工夫を取り入れることで空間をつくり、伝統的な良さを残した本来の日本の家づくりを行うことを考えているとのことでした。
住みやすい家づくりとは、本来の日本の家づくりの姿に戻ることで、そこに住む人が幸せであるようにそんな願いがこめられた家づくりであるように思われました。
【アンケートより】
・日本の昔ながらの住宅が素晴らしいと思っていましたが、不便な部分も多いと思っていました。日本の住宅の素晴らしい部分も活かし、現状・土地の形状に合わせて建てられているのがよいと思いました。(20代・女性)
・将来、家を建てることがあれば、庭からの自然光が入り、風が通る家に住みたいと実感しました。紀の国住宅さんと作る家が出来たら是非見に行きたいなと思います。(20代・女性)
・これから家を建てる機会は人生であと1回あるかないかですが、少なくとも「買う」のではなく「建てたい」と思いました。(40代・男性)
・もう自分の家を建てることはないですが、一度は見晴らしが良く、明るい風通しのよい家に住んでみたいです。(60代・女性)
・こんなにわかりやすい内容!数年前、自宅を建てる前にお聞きしたかった。(70代・女性)
・地産地消の建材を使用する話は興味を持ちました。(70代・男性)
(前回)第92回「音をとおして関わる~音楽療法が私たちに気付かせてくれること~」(レポート)
(次回)第94回「「日本庭園」のデザイン-その誕生と変遷-」(予告)
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