こんにちは。経済学部二年生の梅原です。

 

 

さてみなさん唐突ではありますがここ最近「教養」という言葉を耳にしたことはありませんか?

ここ最近「教養」と名の付く本が増えていると思うのです。

では教養とはなんでしょうか?

これは難しい質問だと思います。

 

「人が身に着けるべきもの。」「人生の基礎となるもの。」「人間的評価を高めるもの。」

人によって答えはさまざまだと思います。

今の日本では「教養」は中世ヨーロッパで始まったリベラルアーツに端を発していると考えられています。

リベラルアーツとは中世ヨーロッパで人が持つ必要がある技芸の基本と見なされた自由七科のことで、具体的には文法学・修辞学・論理学の3学、および算術・幾何学・天文学・音楽の4科のことです。

 

その後時代が流れ今の大学ではこの流れを汲んで教養科目としてあらゆることを学んでいます。

 

では戦後から今の教養科目の変遷を辿っていきましょう。

 

 


二分の一が「教養」

戦後日本の大学はアメリカの一般教育を幅広く取り入れ、人文科学・自然科学・社会科学という三つの分野に分け幅広く知識を吸収しようとしてきました。

ですが教養と専門の対立、実学志向の高まりなどで教養教育は難航していたようです。

この時代の教養教育に関しては知識の多寡に重視を置き、教授から生徒への一方的な授業が多かったことも生徒の不満や成果の向上を見込めなかったといわれています。

 

そもそもこの時代の大学は最初の一~二年でいわゆる一般教養課程を学ぶため教養部という学部に入学し、残り二年で各々の学部に入り専門課程に進むというシステムが多かったのです。

 

この制度だと

「せっかく志望した学部に入れたのに関係のないことしか学べない。」

また色々な分野を入門程度にしか学べないので

「高校の延長に過ぎなくつまらない。」

といった学生の意見が多くみられるようになったのです。

 

さらには高度経済成長期ということもあり企業側が

「もっと専門的なことをやってくれ。」

という意見もあったようです。


一度はなくなった教養教育

1991年に大学教育の改善について―大学設置基準の大綱化―」が発表され、一般教養と専門教育の区分は廃止され、各大学が自由にカリキュラムを組めるようにしました。

すると1996年国立大学において一般教育課程と教養部、すべてが姿を消し、専門教育に力を入れた編成に変わったのです。

しかしそのように専門教育に力を入れていた矢先、オウム真理教の地下鉄サリン事件が発生したのです。

オウム真理教は多くのいわゆるエリートたちを多く入会させることに成功していた団体でしたからこれに対し大学は

「なぜあのような優秀な生徒があんなことを。やはり教養というべき常識が必要なのか」

と考えるようになりました。

加えて実業界からも

「最近の若者は常識がかけている。」

と指摘をするほど実業界も教養を考えるようになってきたのです。

2002年には「新しい時代における教養教育の在り方について」が発表され、「新しい教養」が提唱されました。

 

すると教養教育に関しての機運も高まりあらゆる大学で教養について考えるものが生まれてきたのです。

例えば東京工業大学のリベラルアーツセンター、立命館大学の教養教育センター。

また多くの大学で今も現存する教養部から紀要と呼ばれる大学の出版物も刊行されています。

001.jpg

↑ほんの一部


和歌山大学の「教養」とは

さて和歌山大学では

2000年代より教養教育の在り方について各学部の担当者による話し合いが生まれてきました。

しかし元々国の組織であった国立大学法人では担当者が二年に一度交代するという制度が今も残っています。

これは癒着を防ぐための制度ではありますが長期の計画を立てようとしたとき二年で担当者が変わっては深い話が出来ようもありません。

この現状ではいけないと

和歌山大学2011~2013行動宣言」の中の

「時代と社会が求める深い教養と、他社とともに問題解決に取り組むことのできる実践力をもつ人間を育てます」

の文中で和歌山大学の教養教育を人間になるための教育(the art of being a human)」と位置づけ、

新たな教養教育を開始したのです。

その後

平成24年7月1日に「教養の森」センター設立準備室を設置、

平成24年10月1日に「教養の森」センターが設立しました。

教養の森についてさらに詳しいことはこちら→http://www.wakayama-u.ac.jp/kyoyonomori/

また和歌山大学では

「もっと教養教育を学びたい!」

という学生に応えるため教養教育を大学にいる間の4年間学ぶことができるプログラムになっています。


最後に

それでは最後に教養の森センター長の天野雅郎先生と和歌山大学図書館長渡部幹雄先生に今の教養教育について伺ってきたのでご覧ください。

いかがでしたか?

かのスティーブ・ジョブズは若いころ、字体を美しくみせる表現技法カリグラフィーを学んでいたそうです。

そして今人々を魅了するデザインのiphone、ipadなどを作り上げた。

私はこの二つのことは全くの無関係ではないと思います。

思わぬところで知恵、知識は結びついていくものです。

私はそれの橋渡しをするのが教養ではないかと思います。

ではみなさんに一つ質問です。

「教養」ってなんでしょうか?

〈参考資料〉

1『池上彰のやさしい教養講座』 池上彰 著 日本経済新聞社出版

2『【論考】教養教育の今日的必要性を考える』 満都拉 著 ベネッセ教育総合研究所

(http://berd.benesse.jp/koutou/topics/index2.php?id=4348)

3文部科学省HP

(http://www.mext.go.jp/)