自然採光型グロースチャンバー

2015.02.06
ここには合計 5 基のグロースチャンバーがあります.
グロースチャンバーって何?
「さまざまな環境条件を精密に再現できる試験設備」のことです.
この設備でできることは
・外気温と一緒の気温を設定することができる
・外気温プラス何度と設定することができる
・湿度の設定をすることができる
・ スプリンクラーによる水播きの自動化ができる ことが分かりました.
植物の生育条件を調査したり,環境条件を変化させた場合の生育の比較を行ったりすることができます.
この設備を使う学生、和歌山大学大学院 1 年生大野拓也さんにインタビュー
大野さんは,この設備で, 「年間を通した高温がナンコウバイの開花,開芽に及ぼす影響」について研究しています.
「地球温暖化が和歌山県のウメ栽培における主要品種であるナンコバイ(梅)の成長にどのような変化を与えるのか」を証明することを目的として,
2011 年 5 月から高温環境でナンコウバイの育成実験を行っているそうです.
実験結果では,
「高温環境下のナンコウバイは開花,開芽時期が早まる個体が発生したこと, 早期に落葉する個体が発生すること」などが分かりました.
なんとこの実験結果は,2014 年 8 月に日本緑化工学会誌に採択されています.
今この設備では,ナンコウバイ以外に,ビワも栽培しているということでした.
大野さんがこの設備を利用していて,「最高やな!!」「大変や!」と思うことについて伺いました.
「最高だったことは,植物の変化に出会えた瞬間」
ナンコウバイを栽培しているとき,落葉の時期が早かったことがあったそうです.
本来は 10 月なのに,8 月に落葉したということです.
調べてみると,その年は猛暑であり,その影響のため, 植物の生育が変化したことが分かりました.
このように,植物の変化に出会えた時は,最高だったということでした.
普段は,明確な変化を見せない植物が見ただけでわかる変化を見せてくれた時に興奮 しました。
特に,2 月頃に処理区内のナンコウバイが一斉に開花した時には,心が浮き立つようでした。
(上に書いてある)加温したことでの早期落葉した個体が発生した時は,喜びではな く,焦りがありました。
まず,自らの管理方法にまずい所があったのではないかと疑いました。
そうでないとわかった時には,地球温暖化の影響で,将来こういう現象も 起こり得るのだと思い,問題の重要さを思い知りました。
「大変だったことは、データの測定が大変なこと!」
測定は外でやります。
なので 1 日 7 時間も設備にいることがあるみたいです.
普段は葉数や枝伸張の測量や,葉面積の大きさを調べで、 1 日で 300 枚もの写真を撮影するときもあるそうです.
これまでに集めた写真データはなんと 50GB にもなるとのこと!
また,データの測定で終わりではなく,整理や分析もするので,それも大変だということでした.
(ちなみに,このグロースチャンバーは,1 台につき 200 万円程らしいです.5 台という ことは...!?!?和歌山大学でこのような高価な設備で研究が行われているとは,大発見です.)
システム工学研究科 大野拓也