WHO'S WHO 研究者紹介

フィールド・オブ・ドリームス [アゲイン]

If you build it, they will come...
夢からはじまる“違うから楽しい”スポーツのカタチ

それは、ワールドマスターズゲームズから始まった。 夢の舞台は、マスターズ甲子園を経由していよいよ日本にやってくる。 ワールドマスターズゲームズ2021。 30歳以上のスポーツ愛好者なら誰もが参加できる国際競技の第10回大会が、アジアに初めて、日本にやってくる! 5万人が関西に集結して35競技・59種目で競う! 楽しむ!

彦次 佳 HIKOJI Kei

▼合言葉は “SPORTS FOR LIFE” ▼人文社会系だから創造できる 愛とロマンの生涯スポーツ

「より速く、より遠く、より強く」に打ち砕かれて

デビューは少年野球ならぬ少年ソフトボール。92年に始まったサッカーに背を向け、高校時代はバスケットボールで大阪府大会4強にも輝いたチームをポイントガードとして引っ張った。しかし、同い年でマッチアップし続けた桜宮高校のPG木下博之氏と相まみえ、「コイツには叶わない」と兜を脱いだ。木下氏は後に日本代表にも選ばれ、2013年には和歌山トライアンズでも活躍したプロ選手(2019年に40歳で現役引退)。極められるのは一握りだ。到底かなわない自分が、楽しくスポーツを続ける方法を見つけたのが、恩師の授業だった。

「人生を豊かにする」ワガママなオトナのスポーツの楽しさ

恩師である長ヶ原誠先生は国立唯一の体育大、鹿屋体育大学の一期生だった人。教わったのは、多くの人にスポーツを浸透させることと、個人のスポーツ体験の深いところに触れること。難しいことはわかりやすく。そしておもしろく()。学部2年の頃には早くも大学院進学を意識していた。

スポーツ社会学は、医学系など理系が一般的なスポーツ科学を人文社会系から探究する分野。成人学習論講座では生涯学習、社会教育、ジェンダー教育、高齢者学習などをベースに、スポーツ社会学からスポーツ老年学へと学びを進めた。成人・中高齢者を含む地域の人々に混じって学ぶことに夢中になり、長ヶ原先生の声かけで「マスターズ甲子園」を共に立ち上げることに。裏方として体験した興奮と感動が、人間としても研究者としても、今に至るその後の人生を決定づけた。

「マスターズ甲子園」が見せてくれた、たくさんの笑顔をもっと!

2004年、「第1回マスターズ甲子園」。全国の元高校球児が甲子園に集った。200万人と推計される元高校球児を中心に、熟年(マスターズ)世代~ユース選手はもちろん、地域・社会の一人ひとりの歓声がこだました。プレイする"球児"たち、甲子園キャッチボールに参加する元球友、親子連れ、カップル......年齢も文化もレベルも違う誰もが放つ、とびきりの笑顔、笑顔、笑顔! 16回を重ねた取組は、2020年度秩父宮記念スポーツ医・科学賞奨励賞を受賞した。

まもなく開催が予定されている「ワールドマスターズゲームズ2021関西」は、第10回記念大会。アジア初となるこの生涯スポーツ国際大会には、和歌山県の仁坂知事の会長就任が報じられたばかり。恒例となりつつある「マスターズ甲子園和歌山大会」や、2019年に白良浜に誘致が実現したフライングディスクの世界大会「アジア・オセアニアビーチアルティメット選手権」に続いて、運営に携わるのが今から待ち遠しい。一緒に裏方を支えてくれるゼミ生たちが、一段と広い視野を手に入れ、笑顔を拡げていってくれたらと願わずにいられない。

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Profile プロフィール

彦次 佳 HIKOJI Kei

和歌山大学着任 2012年
学位 博士(学術)
所属学協会 【公的委員】ワールドマスターズゲームズ関西2021硬式野球運営員会(副委員長ほか)、硬式野球運営委員会(副委員長)、マスターズ甲子園実行委員会(副委員長)、日本フライングディスク協会(理事)ほか
研究キーワード 生涯スポーツ、マスターズスポーツ、スポーツプロモーション

1979年大阪府出身。1999年の入学から博士課程修了まで、休学を挟みながら神戸大学で長めの青春期を過ごした。人と関わることが大好きで、いつの間にか大勢から可愛がられる生来の末っ子気質。バスケットボールの傍ら、姉がファンだったヤクルト・池山選手が好きだったスターダスト・レビューにハマり、バンド活動に明け暮れたことも。ほうぼう、こち、いわし、クエ……美味しい魚の宝庫、和歌山の自然には魅了されっぱなし!