WHO'S WHO 研究者紹介

NO SMOKING

~街のにおい~

寒くなければバイクがええよ
街には「におい」があるからね

和歌山大学に、新しい理事がやってきた。
地元に寄り添い、共に進む楽しさを鞄に詰めて。
和歌山の商工を知り尽くすベテランが大学をなぞるとき はやてのごとき和歌山弁が和歌山大学を開いてゆく――。

副学長・理事(総務・財務)

藤本 陽司 FUJIMOTO Yoji

RIDE ON TIME!
チャンスの女神には前髪しかない!!

背景を描き忘れた未完成の絵

学生時代は神奈川県の日吉という街に下宿した。
都心へ出かけようにも東横線が止まると身動きが取れず、「ストってなんやねん」と腹が立って労働経済学の道へ。
帰国したばかりのゴリゴリの猛者からアメリカ式教育の厳しい洗礼を受け「ああはなるまい」と強く決意した。

一方で、東京生まれの学友にまみれて、人間は平等ではないことを肌で知る。
ここは、背景を描き忘れた未完成の絵のような街やなぁ――ひとり神保町の古本屋街に通っては探偵小説を読み漁った。

ある日、待ち合わせした彼女が現れず、不貞腐れて入った渋谷の映画館で『春男の翔んだ空』を見た。
障がいを持つ児童に囲まれた熱血教師を永六輔が演じていた。
子どもたちの自然な笑顔のせいだろうか、帰郷後は、福祉を目指し和歌山県庁に入った。

仕事の歓びとは、誰かの役に立っているという実感

県庁生活35年のうち、25年を"商工畑"で過ごした。住民を訪ね歩き、中小企業の支援に奔走した。ひとが暮らしてきた歴史と文化の匂う街々を、身軽なバイクで走り回るのが好きだった。

今だと思ったら即座に動かないとチャンスに逃げられてしまう――とにかく動いた。そして悟った。
「上から助けてあげるという視点ではダメ、横に並んで提案を。あとは企業次第や」地域の強み、地域資源をそれぞれが活かして欲しいという思いが結実した『わかやま中小企業元気ファンド』は、もう13年目を迎える。

人が仕事をするのは、自分が役に立っているという実感のためだと言う。そして誰かの役に立つためには、外の世界と直接知り合うこと、人間の幅を広げることだと。

「和歌山大学も、これから外の世界とどれだけ知り合えるか。楽しみやね。ほどほどに行こ(笑)」

わかやま中小企業元気ファンド

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Profile プロフィール

藤本 陽司

藤本 陽司 FUJIMOTO Yoji

和歌山大学着任 2019年-2021年3月
経歴 1980年~和歌山県庁勤務。商工総務課、通商産業省、企画室、和歌山県社会経済研究所、地域振興課、商工振興課、商工金融課などを経て、行革担当副課長~商工振興課 地域ブランド室長~商工総務課長~企画総務課長~知事室長を歴任。前職は和歌山信用保証協会理事長。

1955年生まれ。六十谷から清風南海高校に通い、「モテるかなと思って」慶應義塾大学・経済学部へ。今では国際派エコノミストとして知られる若き日の島田晴雄氏に師事し、ゼミ2期生としてビシバシしごかれた。

座右の銘は「ほどほどに」。人間以外だったら生き物はなんでも好きで、ボス、シベリアンハスキーなどの大型犬と一緒に暮らしてきた。現在は、保護猫4匹と愉快に過ごす日々。

一匹がちゅ~るに夢中で、両手に生傷が絶えない毎日。45歳で免許を取得した400ccバイクで街を走るのが趣味。